朝ドラ「ブラッサム」で、石橋静河さんが演じるヒロイン「葉野珠(はの・たま)」のモデルは、実在の作家・宇野千代(うの・ちよ)さんです。

宇野千代は「おはん」「生きて行く私」などの作品で知られ、小説の執筆だけでなく、雑誌の編集や着物のデザインでも活躍しました。

宇野千代の生涯と、葉野珠を演じる石橋静河さんのプロフィールを紹介します。

 

朝ドラ「ブラッサム」葉野珠とは?本を読むことが好きで自分でも物語を書く

朝ドラ「ブラッサム」葉野珠とは?本を読むことが好きで自分でも物語を書く

朝ドラ「ブラッサム」で、石橋静河さんが演じるヒロイン・葉野珠は、山口県岩国の葉野家に生まれた長女です。

幼い頃から本を読むことが大好きで、やがて自分でも物語を書くようになります。故郷を離れ、人との出会いや別れを重ねながら、作家への道を歩んでいく女性です。

珠の幼少期は村上蘭さん、80代の珠は加賀まりこさんが演じます。

朝ドラ「ブラッサム」は宇野千代さんをモデルにしていますが、原作のないオリジナルストーリー(フィクション)として制作されています。

 

「ブラッサム」葉野珠の実在モデル「宇野千代」の生涯

宇野千代(出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」)

宇野千代は、1897年(明治30年)に生まれ、1996年(平成8年)に98歳で亡くなった作家です。

明治・大正・昭和・平成を生き、恋愛や結婚、仕事でさまざまな経験を重ねながら、晩年まで執筆を続けました。

 

山口・岩国に生まれ、2歳で実母と死別

宇野千代は、山口県玖珂郡横山村、現在の岩国市に生まれました。1899年(明治32年)、2歳のときに実母・トモが亡くなります。翌年、父・俊次が再婚し、千代は継母・リュウに育てられました。

父は気性が激しく、しつけにも厳しい人物でした。一方、若くして宇野家へ嫁いだリュウは、千代や弟妹を育て、家庭を支えていきます。千代自身も、長女として家族を支える役割を担いました。

父や母との関係は、のちに千代が自分の人生を振り返って書く際にも、大切な題材となっています。

1911年(明治44年)には、父の命でいとこの藤村亮一のもとへ嫁ぎますが、10日ほどで実家に戻っています。

 

女学校を卒業し、小学校の代用教員に

1914年(大正3年)、女学校を卒業した千代は、小学校の代用教員になります。代用教員とは、教員免許を持つ正規の教員を補う形で採用された先生のことです。

この頃から仲間と同人誌を作り、雑誌に投稿するなど、文学への関心を深めていきました。

しかし、同僚教師との恋愛が問題となり、学校を去ることになります。その後は京城、現在の韓国・ソウルへ渡り、帰国後も京都、東京、札幌と暮らす場所を変えていきました。

東京ではレストランなどで働き、文学に関わる人々とのつながりも生まれます。生活のために働きながら、書くことを続けていた時期です。

 

「脂粉の顔」が懸賞小説に入選し、作家の道へ

1919年(大正8年)、千代はいとこの藤村忠と結婚。翌年、夫の仕事に伴って札幌へ移り住みます。

作家としての転機となったのは、1921年(大正10年)です。新聞の懸賞小説に応募した「脂粉の顔」が、時事新報の懸賞短編小説で1等に選ばれました。

さらに翌年には、文芸雑誌「中央公論」で「墓を発く」を発表。千代は本格的に作家として歩み始めます。

故郷を離れてさまざまな場所で暮らした経験や、人との出会いが、作品を書く土台になっていきました。

 

尾崎士郎との結婚、東郷青児との生活

1922年(大正11年)、千代は作家の尾崎士郎(おざき・しろう)と出会います。翌年には東京・馬込で暮らし始め、藤村忠との離婚を経て、1926年(大正15年)に尾崎と結婚しました。

馬込には多くの作家や芸術家が集まり、千代も文士たちとの交流を広げていきます。

その後、千代は洋画家の東郷青児(とうごう・せいじ)と出会い、1930年(昭和5年)から一緒に暮らし始めました。尾崎との結婚生活は終わりを迎えます。

東郷との関係も1934年(昭和9年)に終わりますが、彼から聞いた体験をもとに書いた「色ざんげ」は、千代の代表作の1つとなりました。単行本は1935年(昭和10年)に刊行されています。

 

雑誌「スタイル」を創刊、着物のデザインも手がける

千代の仕事は、小説を書くことだけにとどまりません。

1936年(昭和11年)にはスタイル社を設立し、ファッション雑誌「スタイル」を創刊しました。服装や美容、海外の文化などを紹介し、女性の暮らしに新しい楽しみを届ける雑誌です。

千代は編集長として、企画や原稿の依頼、誌面作り、経営にも携わりました。1939年(昭和14年)には作家の北原武夫と結婚し、雑誌作りでも協力していきます。

また、戦後の1949年(昭和24年)には「宇野千代きもの研究所」を設立。着物のデザインにも本格的に取り組みました。

桜などを取り入れた着物は、千代を象徴する仕事の1つです。作家、編集者、着物デザイナーと、関心を持った分野へ活動を広げていきました。

参考資料:「NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 ブラッサム Part1」82~83ページ

 

「おはん」で文学賞を受賞する一方、会社の倒産も経験

1957年(昭和32年)、千代は長い年月をかけて書いた小説「おはん」を刊行します。

この作品で野間文芸賞を受賞し、翌年には女流文学者賞も受賞。作家として高い評価を得ました。

一方、仕事や暮らしが順調なことばかりだったわけではありません。1959年(昭和34年)にはスタイル社が倒産し、多額の借金を抱えることになります。

1964年(昭和39年)には北原武夫と離婚。それでも千代は執筆を続け、人生の後半にも多くの作品を残しました。

 

80代で「生きて行く私」がベストセラーに

1982年(昭和57年)、千代は毎日新聞で自伝「生きて行く私」の連載を始めます。

幼い頃の家庭のこと、恋愛や結婚、作家として歩んできた道など、自分自身の人生を振り返った作品です。翌1983年(昭和58年)に単行本として刊行され、100万部を超えるベストセラーとなりました。

小説を通して知られていた千代は、この作品によって、その生き方にも広く関心を寄せられるようになります。

1990年(平成2年)には文化功労者に選ばれ、岩国市名誉市民にもなりました。晩年まで執筆を続け、1996年(平成8年)、98歳で生涯を閉じています。

 

「ブラッサム」葉野珠を演じる石橋静河(いしばし・しずか)プロフィール

 

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葉野珠を演じるのは、女優の「石橋静河(いしばし・しずか)」さんです。父は俳優の石橋凌さん、母は女優の原田美枝子さんで、2人の次女として生まれました。プロフィールは以下の通りです。

生年月日 1994年7月8日
出身地 東京都

2015年から女優として活動。2017年の映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」で、ブルーリボン賞新人賞などを受賞。主な出演ドラマは「東京ラブストーリー」「大豆田とわ子と三人の元夫」「燕は戻ってこない」など。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、源義経の愛妾・静御前を演じました。

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朝ドラへの出演は、萩尾より子役で出演した2018年前期の「半分、青い。」以来となります。

 

まとめ

石橋静河さんが演じる「葉野珠」の実在モデルは、山口県岩国市出身の作家・宇野千代です。

「脂粉の顔」の入選をきっかけに作家となり、「色ざんげ」「おはん」「生きて行く私」などの作品を発表。雑誌「スタイル」の編集や着物のデザインでも活躍しました。

恋愛や結婚、仕事での成功と挫折を経験しながら、98歳まで生きた宇野千代。「ブラッサム」では、その人生をもとに、葉野珠が自分らしい生き方を探していく姿が描かれます。

他にも「ブラッサム」のキャスト・スタッフ一覧は、以下でまとめています。

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大森拓也
放送作家、物書き、フリーライター歴20年以上です。放送作家としての仕事については、以下のブログに記載しています。
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