石橋静河さんが主演を務める朝ドラ「ブラッサム」【第1話】では、昭和57年(1982年)の主人公・葉野珠(はの・たま)が、新聞連載「生きて行く私」を執筆する場面が描かれます。この時代の珠を演じるのは、加賀まりこさんです。

「生きて行く私」は、珠のモデルとなった作家・宇野千代(うの・ちよ)が実際に書いた自伝です。1982年(昭和57年)に毎日新聞で連載が始まり、翌1983年(昭和58年)に単行本として刊行されました。

【第1話】に登場する「生きて行く私」とはどんな作品なのか、ドラマの場面と実在する書籍の関係を解説します。

 

「ブラッサム」【第1話】は1982年の執筆場面から1908年の幼少期へ

「ブラッサム」【第1話】は1982年の執筆場面から1908年の幼少期へ

「ブラッサム」【第1話】(2026年9月28日放送)は、昭和57年(1982年)の葉野珠の姿から始まります。

この時代の珠を演じるのは、加賀まりこさん。東京・青山の書斎で新聞連載「生きて行く私」を執筆しており、そばには松たか子さんが演じる秘書・藤川優子が寄り添っています。

「ブラッサム」加賀まりこが演じる晩年の珠とは?「私の青空」に続く2度目の“珠”役朝ドラ「ブラッサム」85歳の葉野珠を演じるのは加賀まりこさんです。第1週から登場する珠の役どころや秘書・藤川優子との関係、加賀さんのプロフィール、同じ「珠」の名を持つ役を演じた「私の青空」などの朝ドラ出演歴を紹介します。...

そこから時代は変わり、明治41年(1908年)の山口県岩国(現在の山口県岩国市)へ。葉野家の4人兄弟の長女である幼少期の珠を、村上蘭さんが演じます。

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幼い珠は、しつけに厳しい父・清治(渡部篤郎)と、継母・リョウ(国仲涼子)のもとで暮らしています。優しいリョウが大好きな一方で、血のつながらない自分をなぜそこまで愛してくれるのか、少し不安も抱えています。

作家として書き続ける珠が、どのような家庭で育ったのか。物語は、その原点へとさかのぼる形で始まります。

 

「生きて行く私」とは?宇野千代が自分の人生をつづった自伝

「生きて行く私」は、宇野千代が、それまで歩んできた人生を自ら振り返った作品です。

岩国の生家や父母のこと、恋愛や結婚、人との出会いと別れなどを通して、自分の思うままに生きようとした日々がつづられています。小説家として知られる宇野千代の、生き方そのものに触れられる1冊です。

新聞連載から書籍になるまでの流れは、以下の通りです。

作品名 生きて行く私
著者 宇野千代
新聞連載 1982年(昭和57年)2月から、毎日新聞「日曜くらぶ」で連載
単行本 1983年(昭和58年)8月、毎日新聞社から上下巻で刊行

単行本は100万部を超えるミリオンセラーとなりました。宇野千代が85歳のときに刊行し、幅広い読者に親しまれた晩年の代表作です。

ドラマで珠が執筆している昭和57年(1982年)は、史実でも宇野千代が84歳で「生きて行く私」の連載を始めた年にあたります。

 

「生きて行く私」は朝ドラ「ブラッサム」の原作?

「生きて行く私」は朝ドラ「ブラッサム」の原作?

実在する自伝が登場しますが、「生きて行く私」が「ブラッサム」の原作というわけではありません。

「ブラッサム」は宇野千代をモデルにした物語ですが、原作はありません。登場人物名や団体名などを一部改め、フィクションとして描かれるオリジナル作品です。

そのため、宇野千代が自伝につづった出来事と、葉野珠の人生がすべて同じになるとは限りません。ドラマに登場する実在の作品として押さえておくと、珠と宇野千代のつながりが分かりやすくなります。

宇野千代の生涯や史実については、以下の記事で解説しています。

「ブラッサム」葉野珠(石橋静河)の実在モデル・宇野千代とは?生涯・結婚歴・代表作を紹介
「ブラッサム」葉野珠(石橋静河)の実在モデル・宇野千代とは?生涯・結婚歴・代表作を紹介朝ドラ「ブラッサム」で石橋静河が演じる葉野珠の実在モデル・宇野千代とは?岩国での生い立ちから、恋愛・結婚、作家としての活躍、98年の生涯を紹介。「おはん」「生きて行く私」などの代表作や、石橋静河のプロフィールもまとめます。...

 

日本近代文学館の宇野千代展が開催|「生きて行く私」から人生をたどる

日本近代文学館(東京都目黒区)で開催中の「宇野千代展―100年の旅人―」も、「生きて行く私」を入り口に、宇野千代の歩みをたどる構成です。

会期は2026年9月12日(土)から11月21日(土)まで。展示のプロローグには、「『生きて行く私』から遡る旅」という題が付けられています。

続いて、初期の小説や雑誌づくり、女性作家たちとの交流、人生をともにした人々などを、原稿や書簡などの資料から紹介する構成です。

晩年の人気作家という姿だけでなく、そこに至るまでに何を経験し、どのような作品を書いてきたのかに目を向ける展覧会です。

「ブラッサム」の【第1話】と同じく、「生きて行く私」から過去の歩みへと目を向ける点が興味深いところです。

出典:日本近代文学館「宇野千代展―100年の旅人―」

 

まとめ

「ブラッサム」【第1話】で葉野珠が執筆する「生きて行く私」は、宇野千代の実在する自伝です。

1982年(昭和57年)に毎日新聞で連載が始まり、1983年(昭和58年)に単行本として刊行されました。100万部を超えるミリオンセラーとなっています。

ドラマは、昭和57年(1982年)に珠が執筆する場面から、幼少期を過ごす明治41年(1908年)の岩国へとさかのぼります。「ブラッサム」に原作はありませんが、実在する作品を知ることで、珠の物語を楽しむ手がかりになりそうです。

 

他にも「ブラッサム」のキャスト・スタッフ一覧は、以下でまとめています。

「ブラッサム」キャスト&相関図まとめ、俳優・子役・スタッフ一覧NHK朝ドラ「ブラッサム」の出演キャスト・登場人物を一覧で紹介。ヒロイン・葉野珠役の石橋静河をはじめ、家族や岩国・東京で出会う人々、作家・文士たちの役どころ、脚本・主題歌・語りなどをまとめます。...
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大森拓也
放送作家、物書き、フリーライター歴20年以上です。放送作家としての仕事については、以下のブログに記載しています。
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