「風、薫る」相田翔子が歌った「一かけ二かけ三かけて」とは?西郷隆盛の娘が登場するわらべ歌
「風、薫る」【第129話】では、宮川佳枝(相田翔子)が、子どものころにミカンの木に登って歌っていたという歌を、りん(見上愛)に歌って聞かせる場面がありました。
相田翔子さんが歌ったのは、日本各地で歌い継がれてきたわらべ歌「一かけ二かけ三かけて」です。
実はこの歌には、西郷隆盛の娘が登場する歌詞が伝わっています。さらに、放送された9月24日は、西郷隆盛の命日でもありました。
歌詞の全文と意味、西郷隆盛との関係について解説します。
「風、薫る」相田翔子が歌った歌は「一かけ二かけ三かけて」
「風、薫る」【第129話】で、相田翔子さん演じる宮川佳枝が口ずさんだのは、「一かけ、二かけ、三かけて……」と始まる歌でした。
佳枝は、リウマチを患いながらも自宅での療養を望む男爵家の夫人です。派出看護(現代の訪問看護に近いもの)を担当するりんとの間に、長い年月をかけて信頼関係が育まれてきました。
佳枝がミカンの木に登って歌っていたという子ども時代の思い出の歌は、全国でも広く親しまれてきたわらべ歌です。
また、佳枝が患う病気「関節ロイマチス」や実在モデルの有無、演じる相田翔子さんのプロフィールについては、以下の記事で解説しています。
わらべ歌「一かけ二かけ三かけて」の歌詞と意味
「一かけ二かけ三かけて」は、手まりをつきながら歌う手まり歌や、2人で向かい合って手を打ち合わせる手合わせ歌として、日本各地で歌い継がれてきたわらべ歌です。
朝ドラでは「十七、八のねえさんが」の部分までしか歌われませんでしたが、歌詞は地域や歌い手によって少しずつ異なります。
ここでは、鳥取県立博物館が公開している歌詞をもとに、歌の内容と地域ごとの違いを解説します。
鳥取県米子市で採集された歌詞
鳥取県立博物館では、1981年(昭和56年)10月25日に鳥取県米子市富益町(とみますちょう)で採集された歌詞と音声を公開しています。
一かけ 二かけ 三かけて 四かけて 五かけて
橋をかけ 橋の欄干手を腰に はるか向こうを眺めれば
十七、八のねえさんが 片手に花持ち 線香持ち もしもしねえさんどこ行くの
わたしは九州鹿児島の 西郷隆盛娘です
明治十年三月三日 切腹なされた父上の お墓参りにまいります
お墓の前で手を合わせ 南無阿弥陀仏と拝みます
拝んだ後から魂が フーワリフワリと じゃんけんぽん
数を数える言葉から始まり、橋の欄干にたたずんで遠くを眺めていると、花と線香を手にした17、18歳ほどの娘が登場します。どこへ行くのかと尋ねると、娘は「鹿児島の西郷隆盛の娘」だと名乗り、亡くなった父のお墓参りに行くと答えます。
最後は「じゃんけんぽん」で締めくくられます。手合わせ遊びの最後にじゃんけんで勝ち負けを決める、子どもの遊び歌らしい結末です。
地域によって異なる歌詞
同じ「一かけ二かけ三かけて」でも、地域によって後半の歌詞は大きく変わります。
鳥取県立博物館では、類歌の一例として、島根県江津市桜江町(ごうつしさくらえちょう)で歌われていた歌詞も紹介しています。この歌では、父の最期の部分が次のように歌われています。
明治五年の戦争に 討死なされた父上のお墓参りをいたします
この江津市の歌詞は、お墓参りのあとに「もしわたしが男子なら」と、娘が自分の思いを語る展開へと続いていきます。
佳枝が子どものころに歌っていたのも、こうした各地の「一かけ二かけ三かけて」のひとつと考えられます。
「一かけ二かけ三かけて」と西郷隆盛の関係|史実とは違う歌詞も
歌詞に登場する西郷隆盛(さいごう・たかもり)は、1827年(文政10年)に鹿児島城下の下加治屋町(現在の鹿児島県鹿児島市)で生まれ、明治維新で活躍した人物です。
1877年(明治10年)、西郷隆盛を中心とする鹿児島の士族(元武士)が明治政府に対して起こした戦い、西南戦争(せいなんせんそう)で、西郷隆盛は命を落としました。
鳥取県立博物館では、この歌の内容は西南戦争に関係しており、この出来事をきっかけに歌が生まれたものだろうと解説しています。
ただし、歌詞には史実と異なる部分があります。米子市の歌詞では、西郷隆盛の死を「明治十年三月三日」としていますが、実際に亡くなったのは1877年(明治10年)9月24日です。江津市の歌詞にある「明治五年の戦争」も、史実とは一致しません。
こうした食い違いは、口伝えで広まっていく伝承わらべ歌ならではの特徴かもしれません。また、歌詞に登場する娘が実在した特定の人物を指しているのかどうかは、確認できていません。
西郷隆盛の死を悼む物語が、子どもたちの遊び歌として形を変えながら各地に広まっていったと考えられます。
放送日の9月24日は西郷隆盛の命日だった
相田翔子さんが「一かけ二かけ三かけて」を歌った2026年9月24日は、西郷隆盛が亡くなった9月24日と同じ日です。
1877年(明治10年)9月24日、西郷隆盛は西南戦争最後の戦いとなった鹿児島の城山(現在の鹿児島県鹿児島市)で銃弾を受け、自刃しました。
それから149年後の同じ日に、西郷隆盛の娘が登場するわらべ歌が朝ドラで歌われたことになります。
この歌が西郷隆盛の命日に合わせて選ばれたのかどうかは、現時点では明らかになっていません。
佳枝が子どものころ、ミカンの木の上で口ずさんでいた何気ない思い出の歌。その歌詞をたどると、明治の歴史と今回の放送日が、意外な形でつながっていました。
まとめ
「風、薫る」【第129話】で相田翔子さん演じる宮川佳枝が歌ったのは、日本各地に伝わるわらべ歌「一かけ二かけ三かけて」です。
歌詞には西郷隆盛の娘が父のお墓参りに向かう物語が描かれていて、西南戦争をきっかけに生まれた歌と考えられています。放送日の9月24日は、その西郷隆盛の命日でした。
他にも「風、薫る」のキャスト・スタッフ一覧は、以下でまとめています。
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