NHK連続テレビ小説「風、薫る」のダブルヒロインは、「見上愛」さんと「上坂樹里」さんです。ドラマのあらすじは、以下の通りです。

明治18年、日本初の看護婦養成所が誕生した時代。シングルマザーの一ノ瀬りん(見上愛)と、教会で育った大家直美(上坂樹里)は運命に導かれ同じ養成所へ入所する。

正反対のふたりは「看護とは何か」を問いながらぶつかり合い成長し、やがて最強のバディとして新たな時代を切り拓いていく。

【第11週】では、女郎の夕凪(村上穂乃佳)の入院をきっかけに、娼妓解放令や廃娼運動が描かれます。直美(上坂樹里)は夕凪を親身になって看病し、一方のりん(見上愛)は、廃娼運動の記事を掲載していた新聞社を訪れます。

りんの実在モデルである大関和も、史実で廃娼運動に関わった人物です。【第11週】で描かれる娼妓解放令と廃娼運動、そして大関和の新潟県・高田時代の史実を解説します。

 

「風、薫る」第11週、りんは廃娼運動の記事を掲載した新聞社へ

「風、薫る」第11週、りんは廃娼運動の記事を掲載した新聞社へ

「風、薫る」第11週では、女郎の夕凪(村上穂乃佳)を直美(上坂樹里)が親身になって看病します。

一方、りん(見上愛)は、廃娼運動の記事を掲載していた新聞社を訪れ、相談することになります。

その後、女郎の心中話を扱った新聞記事が掲載されると、世間の反響は大きくなり、夕凪がいた女郎屋にも抗議が殺到します。

この新聞記事を書いたのが、シマケンこと島田健次郎(佐野晶哉)です。シマケンは、娼妓解放令が出されたあとも、女郎たちが本当の意味で自由になっていない現実を新聞記事にしました。

借金や立場の弱さによって抜け出せない女性たちの苦しさが、第11週では夕凪の物語を通して描かれていきます。

夕凪の正体や直美との関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

「風、薫る」女郎・夕凪は直美の母親?村上穂乃佳が演じる魚住セツの正体
「風、薫る」女郎・夕凪は直美の母親?村上穂乃佳が演じる魚住セツの正体朝ドラ「風、薫る」に登場する夕凪/魚住セツは直美の母親?村上穂乃佳さんが演じる女郎の正体、直美の出生の秘密、史実モチーフについて紹介します。...

 

「娼妓解放令」とは?明治5年の解放令と女郎たちの苦しみ

「娼妓解放令」とは?明治5年の解放令と女郎たちの苦しみ

娼妓解放令(しょうぎかいほうれい)とは、明治5年(1872年)に出された、芸妓や娼妓を人身売買的な拘束から解放するための法令です。

きっかけの一つになったのが、ペルー船「マリア・ルス号」をめぐる事件でした。

マリア・ルス号は、清国人の労働者を乗せて横浜港に入港したペルー船です。船内では、労働者たちが劣悪な環境に置かれており、日本政府はこの問題を人身売買にあたるとして裁判で扱いました。

その一方で、日本国内の娼妓制度も、人身売買に近い仕組みではないかと問われることになります。この流れを受けて、明治政府は芸妓や娼妓を解放する布告を出しました。

しかし、娼妓解放令によって、遊郭や公娼制度がすぐになくなったわけではありません。

表向きは「本人の意思で働いている」とされても、実際には借金や家族の事情、生活の貧しさによって、遊郭から自由に抜け出せない女性たちもいました。

 

りんの実在モデル・大関和が携わった廃娼運動の史実

りんの実在モデル・大関和が携わった廃娼運動の史実

りんの実在モデルである大関和は、帝国大学医科大学附属第一医院を離れたあと、新潟県の高田女学校へ赴任しました。

高田では、看護婦としての経験を生かすだけでなく、キリスト教の伝道活動や、遊郭で働く女性たちの解放を目指す廃娼運動にも関わっていきます。

「風、薫る」のりんのエピソードは、これらの実話をモチーフにしている可能性があります。

 

廃娼運動とは?公娼制度をなくそうとした明治の社会運動

廃娼運動とは、公娼制度をなくそうとした社会運動です。公娼制度とは、国や地域が遊郭や娼妓を制度として管理する仕組みのことです。

娼妓解放令が出されたあとも、遊郭の仕組みは形を変えて残りました。そのため、女性たちを苦しい立場に置く制度そのものをなくそうとする廃娼運動が広がっていきます。

この廃娼運動は、単に遊郭をなくす運動ではありません。借金や制度に縛られた女性たちを救い、女性が自分の人生を取り戻すための運動でもありました。

明治時代の廃娼運動には、キリスト教系の女性団体や社会運動家も関わっています。

 

大関和は新潟県の高田女学校へ赴任|廃娼運動との関わり

「風、薫る」のりんの実在モデルは、大関和です。大関和は、正規に訓練されたトレインドナース(看護婦)として、帝国大学医科大学附属第一医院で働きました。

その後、帝国大学医科大学附属第一医院を離れ、新潟県の高田女学校へ赴任します。

高田女学校は、東京のキリスト教系の桜井女学校の分校にあたる学校です。大関和は、明治23年10月に高田女学校へ舎監兼伝道師として赴任し、キリスト教の伝道活動や廃娼運動に関わりました。

大関和は、看護婦として病院で患者を支えるだけでなく、社会の中で苦しい立場に置かれた女性たちにも目を向けた人物でした。

 

大関和は高田で廃娼運動に参加|唱歌や音楽会にも関わった

大関和は、新潟県の高田時代に廃娼運動に参加しました。廃娼運動の中で、大関和は唱歌を作ったり、音楽会を企画したりする活動にも関わっています。

大関和は、看護婦として人の命を支えるだけでなく、女性たちが苦しい境遇から抜け出すための活動にも力を注ぎました。

「風、薫る」第11週のりんは、夕凪の事件やシマケンの記事をきっかけに、女郎たちの現実を知っていく段階です。その先に、大関和の高田時代のような廃娼運動への関わりがつながっていく可能性があります。

「風、薫る」一ノ瀬りんの実在モデル・大関和の生涯については、以下の記事で詳しく解説しています。

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まとめ

「風、薫る」【第11週】では、女郎の夕凪の入院をきっかけに、廃娼運動などが描かれます。

りんの実在モデルである大関和も、帝国大学医科大学附属第一医院を離れたあと、新潟県の高田女学校に赴任し、キリスト教の伝道活動や廃娼運動に関わりました。

他にも「風、薫る」のキャスト・スタッフ一覧は、以下の記事でまとめています。

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大森拓也
放送作家、物書き、フリーライター歴20年以上です。放送作家としての仕事については、以下のブログに記載しています。
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