「風、薫る」看護婦の初給料10円の価値は?アメリカ30円・瑞穂屋3円と比較【明治の物価】
NHK連続テレビ小説「風、薫る」のダブルヒロインは、「見上愛」さんと「上坂樹里」さんです。ドラマのあらすじは、以下の通りです。
明治18年、日本初の看護婦養成所が誕生した時代。シングルマザーの一ノ瀬りん(見上愛)と、教会で育った大家直美(上坂樹里)は運命に導かれ同じ養成所へ入所する。
正反対のふたりは「看護とは何か」を問いながらぶつかり合い成長し、やがて最強のバディとして新たな時代を切り拓いていく。
「風、薫る」【第16話】では、捨松(多部未華子)からりんと直美に「トレインドナースになりませんか」という提案がなされます。
その際、捨松からは、アメリカのトレインドナースは「月給30円」だと語られます。
一方、【第62話】では、帝都医科大学附属病院で働き始めたりんたち看護婦に、初めての給料が支払われます。りんたちが受け取った給料は「月給10円」でした。
明治時代の10円、そして捨松が語った月給30円は、どれほどの価値だったのでしょうか。同時代の物価や給料と比較しながら、当時の看護婦の給料について紹介します。
「風、薫る」捨松がりんと直美に看護婦の月給30円を告げる(授業料50銭/寮費1円)
「風、薫る」【第16話】、りんと直美に捨松が提案したのは、「トレインドナース(正規の教育を受けた看護婦)」になることです。
その場で明かされたアメリカの看護婦の月給は「30円」です。この数字を聞いた直美は思わず「マッチ工場の3年分…」とつぶやきます。
また、新しくできたトレインドナースになるための日本の学校の授業料は月50銭、寮費は3食込みで1円という数字も、捨松から提示されていました。
【第16話】でのドラマの時代設定は1886年(明治19年)。捨松が語った「月給30円」は、りんたちにとって夢のような高給だったことが分かります。
りんが瑞穂屋で受け取った給金・月3円【第11話】
【第16話】で捨松が提示した看護婦の月給30円と比べる上で、りんが働き始めた瑞穂屋での給金も比較軸になります。
【第11話】舶来品の店・瑞穂屋を営む清水卯三郎(坂東彌十郎)がりんに提示した条件は、住み込みの部屋付き、娘の環(宮島るか)の連れ出勤OKで、給金は月3円でした。
月3円でもりんが即決するほどの高待遇だったことを踏まえると、捨松が語った看護婦の月給30円が、いかに大きな金額だったのかが分かります。
ただし、【第62話】でりんたちが実際に受け取った初給料は10円でした。月給30円には届かないものの、瑞穂屋の月3円と比べると3倍以上の金額になります。
瑞穂屋・清水卯三郎の実在モデルについては、以下の記事で解説しています。
りんたち看護婦が初給料10円を受け取る【第62話】
【第62話】では、帝都医科大学附属病院で働き始めたりんたち看護婦に、初めての給料が支払われます。りんたちが受け取った給料は「月給10円」でした。
りんたちの初給料10円は、捨松が語ったアメリカの看護師の月給30円には届かないものの、当時の女性の働き口としてはかなり高い水準だったと考えられます。
明治時代の物価と月給10円・30円の価値|米や呉服の値段、警察官・官吏の給料と比較
直美のつぶやき「マッチ工場の3年分」が示すように、30円は当時の女性労働者にとって、簡単には手の届かない高額な給金でした。
一方、【第62話】でりんたちが受け取った初給料10円も、当時の給料水準と比べると決して低い金額ではありません。当時の物価や給料と並べると、10円と30円の位置づけがより分かりやすくなります。
明治10〜20年代(1877〜1886年頃)、東京府統計書などによると、当時の物価や給料の目安は以下の通りです。
- 米10kg:1円程度
- 呉服(反物1反):約6円
- 小学校初任給:6〜8円
- 官吏(下級役人):10円前後
- 警察官の月給:7〜10円
- 女中の給料:0.5円〜1.5円(雇い主の身分・待遇による)
女中が月給1円程度だった時代に「30円」は30倍以上の破格の水準です。警察官や下級役人の給料すら大きく上回る額でした。
一方で、りんたちが【第62話】で受け取った10円も、警察官や下級役人の月給に近い水準です。瑞穂屋の月3円と比べても高く、看護婦という仕事が専門的な職業として描かれていることが伝わってきます。
明治の10円・30円は今のいくら?現代換算でわかる給料の違い
当時の物価水準を現在の貨幣価値に換算すると、あくまで目安ですが、おおよそ1円=2万円〜3万円相当とされます。
捨松が提示した「アメリカの看護婦水準」の30円は、現代換算で月60〜90万円に相当する高給だったことがわかります。
同じ目安で考えると、【第62話】でりんたちが受け取った初給料10円は、現代換算で月20〜30万円ほどになります。
また、前作のNHK朝ドラ「ばけばけ」(舞台は明治初期)でも、ヘブンの女中・トキに提示された給料は「月給20円」でした。
「月給20円」でも高給だとドラマ内で語られていましたが、「風、薫る」の看護婦30円はさらにその1.5倍になります。
まとめ
「風、薫る」【第16話】で捨松から提示された「月給30円」は、明治19年の女工や女中の給料と比べて圧倒的な高額です。「30円」は、現代の60〜90万円に相当すると推測されます。
一方、【第62話】でりんたち看護婦が受け取った初給料は「10円」でした。30円には届かないものの、瑞穂屋でりんが受け取っていた月3円と比べると3倍以上で、当時としてはかなり高い水準だったと考えられます。
他にも「風、薫る」のキャスト・スタッフ一覧は、以下の記事でまとめています。
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