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「べらぼう」絵本「明月余情」とは?蔦重が「俄」の熱狂を出版した理由

「べらぼう」絵本「明月余情」とは?蔦重が「俄」の熱狂を出版した理由

2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」

「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。

“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。

田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。

 

【第12話】吉原で行われる祭り「俄(にわか)」が盛り上がり、蔦重は俄の様子を描いた「明月余情」を出版します。

浮世絵を用いた絵本「明月余情(めいげつよじょう)」について解説します。

 

明月余情(めいげつよじょう)とは?史実と本の特徴

明月余情(めいげつよじょう)とは?史実と本の特徴↑蔦重が出版した「明月余情」
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/932212/1/6)

「明月余情」は1777年(安永6年)に蔦屋重三郎が編集・刊行した書物です。

内容は、吉原の祭り「俄(にわか)」について記録したもので、当時の庶民文化の熱狂ぶりが伝わってくる一冊です。

大河ドラマ「べらぼう」でも「俄」で女郎屋の大文字屋(伊藤淳史)と若木屋(本宮泰風)が「雀踊り」による対決で、大盛り上がりの様子が描かれます。

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蔦重が出版した「明月余情」の絵は「勝川春章」、序文を「朋誠堂喜三二(平沢常富の戯号)」が担当、「俄」の様子が実に細かく、活気ある筆致で描かれています。

 

勝川春章が描いた「明月余情」絵の特徴

「明月余情」最大の魅力の一つが、当時の祭りの熱気を活写した挿絵です。​挿絵を手がけたのは、江戸を代表する浮世絵師の「勝川春章(かつかわ・しゅんしょう)」でした。​

春章は役者絵や美人画で名高く、人物の生き生きとした表情や動きの表現に優れた絵師です。

↑蔦重が出版した「明月余情」絵・勝川春章
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/932212/1/9)

「明月余情」の中でもその筆致は遺憾なく発揮されており、屋台の上で踊る芸者のしなやかな姿、芝居に熱狂する観客の表情、華やかな衣装をまとい練り歩く役者たちなどが、生き生きと描かれています。

「べらぼう」では、勝川春章は役者「前野朋哉」さんが演じています。

 

平沢常富(朋誠堂喜三二)の「明月余情」文章(序文)の特徴

平沢常富(朋誠堂喜三二)の「明月余情」文章(序文)の特徴

↑蔦重が出版した「明月余情」序文・朋誠堂喜三二
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/932212/1/3)

朋誠堂喜三二の「明月余情」序文は、武士でありながら戯作者としても活躍した独特な視点が反映された文章です。「朋誠堂喜三二」は秋田藩士の平沢常富の戯号(ペンネーム)です。

序文では、一夜限りの「俄」という祭りの中にも、記録に残すべき文化的価値があることを訴えています。洒落や風刺を交えながら、娯楽と教養、遊びと批評を巧みに融合させ、江戸庶民文化の豊かさと奥深さを表現しています。

「べらぼう」では、平沢常富は役者「尾美としのり」さんが演じています。平沢常富(朋誠堂喜三二)の詳細については、以下の記事でまとめています。

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「明月余情」という書名の意味とは?

「明月余情」というタイトルには、満月が過ぎた後に残る余韻=吉原の祭り「俄」に熱狂した人々の情熱の名残を記録する、という意味合いが込められていると考えられます。

 

蔦重が「明月余情」を出版した理由とは?

蔦重が「明月余情」を出版した理由とは?

蔦屋重三郎は、単なる出版人ではなく、「時代の空気を本にする」ことに情熱を注いだ文化人でした。

「俄(にわか)」は一過性の祭りでありながら、人々を熱狂させる力を持っていました。その瞬間の熱気を「記録」として未来に残すという行為こそが、蔦重の真骨頂でした。

蔦重が「明月余情」を世に出した理由には、次のような意図があったと考えられます。

  • 江戸庶民の娯楽を「文化」として記録し、後世に伝える
  • 吉原の「俄」祭りの熱気と魅力を詳細に描写し、一過性の娯楽を後世にも伝わる記録として残す
  • 勝川春章や朋誠堂喜三二(平沢常富)など、当代一流の文化人と協力し、作品の芸術性と文化的価値を高める

蔦重はこの作品を通じて、一瞬の娯楽で終わりかねない庶民文化を、永続的な価値あるものへ昇華させようとしたのかもしれません。

 

まとめ

NHK大河ドラマ「べらぼう」、「明月余情」は蔦屋重三郎が江戸の庶民芸能「俄」の熱狂を記録するために刊行した風俗絵本です。

勝川春章の絵と平沢常富の序文を通して、当時の熱気と文化的意義を伝える一冊であり、蔦重の出版人としての先見性が光る作品です。

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