2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」【第16話】では、平賀源内(安田顕)は「不吉の家」と呼ばれる屋敷に暮らし、源内が”人を斬った”という衝撃の知らせが舞い込み、物語は急展開を迎えます。
源内の最期のきっかけとなる事件の謎や、「七ツ星の龍」「不吉の家」の用語解説、そして史実との違いもふまえて、わかりやすく解説します。
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平賀源内の最期とは?「べらぼう」第16話と史実を比較

【第16話】「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」で描かれた平賀源内の刃傷事件と、実際に史実で起きた事件との関係について解説します。
「べらぼう」ドラマで描かれた“人を斬った源内”

「べらぼう」【第16話】では、源内が突如“人を斬った”という知らせが田沼意次や蔦屋重三郎のもとに届きます。
物語で源内は、大工の久五郎(齊藤友暁)と、普請の仕事を持ってきた丈右衛門(矢野聖人)と3人で酒席を設けており、源内が朝目覚めると血のついた刀と、久五郎の死体が目の前に。
そして、奉行所は源内を容疑者として捕らえます。しかし源内は「源内は下戸であり、酒が飲めない」「竹光(偽物の刀)しか持っていない」事から、蔦屋重三郎(横浜流星)は、源内が犯人ではないと田沼意次に訴えます。
その裏では、丈右衛門が久五郎を殺害し、源内が犯人であるかのように仕立てたのでした。
この描写により、源内を殺害する必要がある黒幕の存在が示唆されています。
「べらぼう」蔦重に新作を依頼された源内は「七ツ星の龍(田沼意次)」の物語を描く
実はその直前、蔦屋重三郎は源内に新作の執筆を依頼していました。源内は「その手袋を手にした者が次々に命を落とす」という恐ろしい筋書きを熱弁し、芝居『死を呼ぶ手袋』の構想を語り出します。
そして源内は、田沼意次をヒーローに仕立てた物語「七ツ星の龍」を描きます。「七ツ星の龍」は、田沼意次の家紋が「七曜(七つ星)」であり、幼名が「龍助」から「田沼意次」のことを指すと考えられます。

江戸に広まる「死を呼ぶ手袋」の噂を利用して悪事を働く悪党たちに、「七ツ星の龍(田沼意次)」と源内軒が立ち向かうという、勧善懲悪の痛快な敵討ち物語。源内はこの作品に、自身の無念や友情、意次への複雑な思いを込めていたのかもしれません。
源内が残した原稿はわずか一枚のみで、その他の部分はすべて持ち去られていました。蔦重はこの不可解な状況に疑問を抱き、「被害者と容疑者以外に、必ずもう一人第三の人物がいた」と推理します。
ここまでは大河ドラマ「べらぼう」のフィクション部分の解説です。以下より、平賀源内の史実を紹介します。
平賀源内は史実でも「刃傷事件」を起こす
実際の平賀源内も、晩年に知人とのトラブルから刃物沙汰を起こし、江戸の牢屋に投獄されました。そして、正式な裁きを受ける前に牢内で病死します。
死因は記録に明確ではありませんが、栄養失調や感染症による衰弱死と推測されています。
「べらぼう」で描かれている「平賀源内が人を斬って牢に入れられた」という展開は、史実を踏まえた描写です。
平賀源内の享年とその後の評価
源内が亡くなったのは1780年(安永9年)、享年52歳。
生前は発明・出版・演劇など幅広い分野で活躍したものの、晩年は経済的にも精神的にも追い詰められ、孤独な最期を迎えました。
当時は「狂気の果て」と見る声が強かったものの、後年になると「時代を先取りしすぎた天才」として再評価されています。
「平賀源内」が復元した「エレキテル」や発明品については、以下の記事で詳細をまとめています。

神山検校の屋敷「不吉の家」とは?源内の精神状態と史実に基づく舞台

「べらぼう」に登場する、源内が暮らしていた「不吉の家」とは、一体何だったのでしょうか。
源内が移り住んだのは、大工・久五郎の紹介による「不吉の家」と呼ばれる、いわくつきの家でした。ドラマでは源内の精神的な孤独や、次第に変調していく様子を象徴する舞台となっています。
史実にも、源内が「不吉な家(凶宅)」に住んでいたという記録が残されています。
江戸後期の文人・大田南畝の随筆『一話一言』によると、源内が晩年に住んでいた馬喰町(現在の東京都東神田付近)の町屋は、かつて「神山検校(かみやまけんぎょう)」という人物が住んでいた屋敷でした。これは「べらぼう」でも史実通りです。
この家は、代々不吉な出来事が続いたことから凶宅と呼ばれ、人々に忌み嫌われていたのです。
源内は広くて安価だったためこの家に住むことを選びましたが、そこで「久五郎殺害事件」を起こし、最終的に牢死する運命をたどることになります。
平賀源内を陥れた、黒幕が存在する可能性
源内が語る状況(下戸だった、竹光しか身に着けなかった、強いタバコを吸わされたこと)を考えると、誰かが源内を罠にかけた可能性も浮かび上がります。
- 田沼政権に不満を抱く者たちによる策略?
- 丈右衛門が何らかの罠を仕掛けた?
- あるいは源内を排除したい政治勢力が背後にいた?

こうしたさまざまな推測ができますが、「べらぼう」で暗示されている最大の黒幕は
一橋治済(生田斗真)です。
源内は、将軍の跡継ぎ・徳川家基(奥智哉)の急逝について、田沼意次から依頼され、調査を進めていました。家基の死については暗殺説があり、背後で糸を引いたとされるのが一橋治済です。
源内は家基暗殺の真相に近づいていて、治済にとって源内は非常に危険な存在だったことは間違いありません。
「べらぼう」では結果として、源内は“不可解な事件”に巻き込まれ、牢に入れられ、病死へと追い込まれた可能性が高いかもしれません。
また、家基の死と一橋治済の暗躍については、以下の記事で詳細をまとめています。

まとめ

NHK大河ドラマ「べらぼう」【第16話】で描かれる平賀源内(安田顕)の最後と事件の謎、「七ツ星の龍」「不吉の家」の用語について解説しました。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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