「風、薫る」横沢公輔(井上祐貴)の実在モデルは木下尚江?シマケンとの共通点
NHK連続テレビ小説「風、薫る」のダブルヒロインは、「見上愛」さんと「上坂樹里」さんです。ドラマのあらすじは、以下の通りです。
明治18年、日本初の看護婦養成所が誕生した時代。シングルマザーの一ノ瀬りん(見上愛)と、教会で育った大家直美(上坂樹里)は運命に導かれ同じ養成所へ入所する。
正反対のふたりは「看護とは何か」を問いながらぶつかり合い成長し、やがて最強のバディとして新たな時代を切り拓いていく。
新潟編が始まった【第78話】から、井上祐貴さんが演じる「横沢公輔(よこさわ・こうすけ)」が登場しました。
横沢公輔の実在モデルとみられる木下尚江(きのした・なおえ)、シマケン(佐野晶哉)との意外な共通点、そして演じる井上祐貴さんのプロフィールを考察します。
「風、薫る」横沢公輔(井上祐貴)は新潟の新聞記者|【第78話】から登場
横沢公輔は、新潟の新聞記者です。何かとりんのことを気に掛け、自分の信念に従い、後先を考えずに行動してしまうところがある人物です。
看護の仕事から距離を置くことを決意したりんは、捨松(多部未華子)の紹介で新潟の女学校の舎監(しゃかん)として働くことになります。そんなある日、りんは偶然、横沢と出会います。
【第78話】で初登場した横沢は、「異議あり!問題あり!」と声をあげながら現れました。第一声から、信念のもとにまっすぐ行動する横沢らしさが表れています。
「新潟」「新聞記者」「りんを気に掛ける」という横沢の設定には、実在モデルと考えられる人物がいます。それが明治の社会運動家・木下尚江です。
横沢公輔の実在モデルは木下尚江?大関和との関係
木下尚江(画像出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」)
木下尚江は、りんの実在モデル・大関和(おおぜき・ちか)と、新潟の高田(現在の上越市)で実際に出会った新聞記者です。
木下尚江とは?新聞記者・社会運動家として活動
木下尚江は、1869年(明治2年)、信濃国松本(現在の長野県松本市)で、松本藩に仕えた下級武士の子として生まれました。
1888年(明治21年)に東京専門学校(現在の早稲田大学)を卒業すると、郷里で新聞記者、のちに弁護士となり、キリスト教徒として禁酒・廃娼運動(はいしょううんどう・遊郭で働く女性たちの解放を訴える運動)に尽力しました。
1899年(明治32年)には毎日新聞社に入社し、廃娼論や足尾鉱毒問題などの記事の執筆に力を注ぎ、日露戦争前夜には非戦論の論者として活躍。1904年(明治37年)には小説「火の柱」を連載しています。
自分の信念のもとにペンで戦い続けた新聞記者、それが木下尚江でした。
木下尚江と大関和は新潟・高田で出会った
1891年(明治24年)、新潟県の高田女学校で舎監をしていた大関和は、地元の廃娼運動に参加し、そこで木下尚江と知り合いました。尚江は11歳年上の和に強く惹かれ、文通を申し込んだとされています。
1897年(明治30年)、尚江は長野県議選をめぐる事件で逮捕されました。翌1898年(明治31年)に東京の鍛冶橋監獄へ移されると、和は面会に駆け付け、差し入れを持って毎週のように通うようになります。そして尚江は、出所する直前に和へプロポーズしました。
しかし、尚江の親友で、新宿中村屋の創業者でもある相馬愛蔵が、この結婚に反対しました。説得を受けた尚江は和との結婚を諦め、和は生涯再婚することなくシングルマザーを貫きました。
ドラマの原案となった「明治のナイチンゲール 大関和物語」にも、第五章「越後高田『知命堂病院』」での木下尚江との出会いから、第六章「東京看護婦会」でのその後のふたりの関係まで、このエピソードが収められています。横沢公輔とりんの関係は、この史実がモチーフになっているとみられます。
出典:田中ひかる「明治のナイチンゲール 大関和物語」(中央公論新社)
他にも、りんの実在モデル・大関和の史実の詳細は、以下の記事で解説しています。
シマケンの実在モデルも木下尚江?横沢公輔との共通点
実は、木下尚江がモデルではないかとみられている「風、薫る」の人物が、もう一人います。佐野晶哉さんが演じるシマケンこと島田健次郎です。
シマケンの実在モデルは不明|木下尚江や鄭永慶の要素も?
シマケンの実在モデルは、公式には発表されていません。ただ、人物設定やドラマでの行動には、木下尚江を思わせる共通点があります。
一方、りんに英語を学ぶきっかけを与えた点は、英語に堪能で、大関和が英語を学ぶきっかけに関わった鄭永慶(てい・えいけい)とも重なります。シマケンには、複数の実在人物の要素が取り入れられている可能性があります。
シマケンと木下尚江の共通点|新聞・廃娼問題・文学
シマケンは小説家を志しながら、活字工として新聞社で働く青年です。綿貫編集長のすすめで、女郎・夕凪の心中の話を記事に書いたところ大評判となり、文字の力を思い知りました。
新聞にかかわる仕事、遊郭の女性をめぐる記事、そして文学への志。新聞記者として廃娼運動に尽力し、のちに小説家にもなった木下尚江の姿と、たしかに重なります。
りんに思いを寄せている点も、大関和に恋をした尚江と共通しています。
また、「風、薫る」で描かれた廃娼運動については、以下の記事で解説しています。
木下尚江の要素が横沢公輔とシマケンに分かれた?
こうして見ると、木下尚江という一人の人物の要素が、二人に振り分けられている可能性があります。
「新潟・高田で大関和と出会った新聞記者」という側面は横沢公輔に、「文学を志し、廃娼問題を記事にした青年」という側面はシマケンに、それぞれ受け継がれているとみられます。
今後、りんと横沢の関係がどう描かれるのか。史実の大関和と木下尚江のような展開になるのか、注目です。
「風、薫る」のWヒロイン、りんと直美の恋や結婚相手については、以下の記事で解説しています。
横沢公輔役・井上祐貴のプロフィール|虎に翼、べらぼうに出演
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横沢公輔を演じるのは、俳優の「井上祐貴(いのうえ・ゆうき)」さんです。プロフィールは以下の通りです。
| 生年月日 | 1996年6月6日 |
|---|---|
| 出身地 | 広島県 |
2017年、大学3年生のときに第42回ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞。2018年、ミュージカル「ピーターパン」で俳優デビュー。2019年、「ウルトラマンタイガ」の工藤ヒロユキ役で初主演を務める。
その後はドラマ「ホリミヤ」「群青領域」、映画「明け方の若者たち」などに出演。
「風、薫る」は、井上祐貴さんにとって「虎に翼」以来、2作目の朝ドラ出演となります。「虎に翼」では、岡田将生さん演じる星航一の長男・星朋一を演じていました。
また、2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、「寛政の改革」を行う松平定信を演じています。
まとめ
「風、薫る」横沢公輔は、【第78話】から登場する新潟の新聞記者です。
りんの実在モデル・大関和が新潟・高田で出会った社会運動家・木下尚江が、横沢の実在モデルとみられます。
他にも「風、薫る」のキャスト・スタッフ一覧は、以下の記事でまとめています。
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