NHK連続テレビ小説「風、薫る」のダブルヒロインは、「見上愛」さんと「上坂樹里」さんです。ドラマのあらすじは、以下の通りです。

明治18年、日本初の看護婦養成所が誕生した時代。シングルマザーの一ノ瀬りん(見上愛)と、教会で育った大家直美(上坂樹里)は運命に導かれ同じ養成所へ入所する。

正反対のふたりは「看護とは何か」を問いながらぶつかり合い成長し、やがて最強のバディとして新たな時代を切り拓いていく。

 

「風、薫る」第14週「ウソと誠」では、帝都医科大学附属病院に入院した山本辰治の大腸がんの手術が行われます。

ドラマの時代設定は1889年(明治22年)頃です。この頃の日本では、がんの手術は可能だったのでしょうか。当時の外科医療の史実をもとに紹介します。

 

「風、薫る」山本辰治は大腸がんの手術を受けることに

「風、薫る」山本辰治は大腸がんの手術を受けることに

帝都医大病院に入院した山本辰治(演:本田大輔)の病気は、大腸がんです。一度は手術を受けて退院するものの、がんが再発し、再び手術を受けることになります。

この時期の時代設定は、1889年(明治22年)頃です。りんと直美が看護婦養成所を卒業し、帝都医大病院でトレインドナースとして働き始めた時期です。

「風、薫る」の年表・時代設定については、以下の記事で詳しくまとめています。

「風、薫る」年表・あらすじ|りんと直美は何歳?年齢と時代背景を解説
「風、薫る」年表・あらすじ|りんと直美は何歳?年齢と時代背景を解説朝ドラ「風、薫る」のりんと直美は何歳なのか、生年月日や年齢差をもとにわかりやすく解説。第1話の設定から推測される年齢や、実在モデル・大関和と鈴木雅との違い、あらすじ、年表、時代背景もあわせて紹介します。...

 

また、辰治の妻・山本テイを演じるのは、女優の伊勢佳世(いせ・かよ)さんです。伊勢佳世さんは「あさイチ」の鈴木奈穂子アナウンサーの高校時代の同級生で、朝ドラ受けでも話題となりました。

話題となった「あさイチ」のやり取りと、伊勢佳世さんのプロフィールについては、以下の記事で紹介しています。

「風、薫る」伊勢佳世は鈴木奈穂子アナの同級生|山本テイ役で「虎に翼」に続く朝ドラ出演
「風、薫る」伊勢佳世は鈴木奈穂子アナの同級生|山本テイ役で「虎に翼」に続く朝ドラ出演朝ドラ「風、薫る」に登場した山本テイ役の伊勢佳世は、あさイチMC・鈴木奈穂子アナの高校の同級生。あさイチでの告白エピソード、山本テイ・辰治の役どころ、伊勢佳世さんのプロフィールを紹介します。...

 

1889年(明治22年)に大腸がんの手術はできた?

1889年(明治22年)に大腸がんの手術はできた?

結論から言うと、1889年当時、がん手術は世界ではすでに始まっていました。ただし日本では、まだ記録に残るがん手術の成功例が登場する前の時代です。当時の外科医療がどこまで進んでいたのかを紹介します。

 

世界では1881年に胃がんの切除手術が成功していた

19世紀の外科医療を大きく変えたのが、「麻酔」と「消毒法」の登場です。1846年にアメリカでエーテル麻酔の公開実験が成功し、1860年代にはイギリスのリスターが消毒法を確立しました。この2つによって、それまで不可能だったお腹を開く手術(開腹手術)ができるようになったのです。

そして1881年、ウィーン大学の外科医ビルロートが、世界で初めて胃がんの切除手術に成功しました。患者は手術後に回復し、一度は退院しています。内臓がんの外科手術が進み始めたことを示す、重要な手術例とされています。

大腸(直腸)のがんに関しては、1885年にはドイツのクラスケが「クラスケ手術」と呼ばれる直腸がんの切除法を確立しています。

 

日本初の胃がん手術は1897年|1889年の大腸がん手術はかなり先進的

一方、日本で記録に残る最初の胃がん切除手術は、1897年(明治30年)に東京帝国大学の外科医・近藤次繁(こんどう・つぎしげ)が成功させたものです。

ドラマの1889年(明治22年)に大腸がんの手術を行うという設定は、日本ではまだ本格的ながん手術の成功例が報告される前、というかなり先進的な描写ということになります。

 

帝都医大病院のモデルなら手術設定は不自然ではない

帝都医大病院のモデルなら手術設定は不自然ではない

ただし、帝都医大病院のモデルを考えると、「風、薫る」での山本辰治の大腸がん手術は決して不自然ではないと考えられます。

 

モデルは帝国大学医科大学附属第一医院

帝都医大病院のモデルは、「帝国大学医科大学附属第一医院」(現在の東大病院)と考えられています。当時の日本で最先端の医療を担っていた病院で、ドイツ人教師の指導のもと、西洋医学に基づく外科手術がいち早く行われていた場所です。

日本で最も進んだ病院だったからこそ、まだ一般的ではなかった大腸がんの手術にも取り組めた可能性があります。

帝都医大病院のモデル「帝国大学医科大学」については、以下の記事で詳しく解説しています。

「風、薫る」帝都医大病院の実在モデルはどこ?東大病院の前身・帝国大学医科大学第一医院を解説
「風、薫る」帝都医大病院の実在モデルはどこ?東大病院の前身・帝国大学医科大学第一医院を解説朝ドラ「風、薫る」に登場する帝都医大病院の実在モデルを解説。りんと直美のモデル・大関和と鈴木雅が実習した帝国大学医科大学附属第一医院は、現在の東大病院の前身にあたる病院です。...

 

今井益男の実在モデル「佐藤三吉」は内臓外科の先駆者

帝都医大病院の外科教授・今井益男(演:古川雄大)の実在モデルと考えられるのが、「佐藤三吉(さとう・さんきち)」です。

佐藤三吉は1883年(明治16年)にドイツ留学で外科学を学び、帰国後は帝国大学医科大学の外科教授を務めました。「外科の佐藤」と呼ばれ、日本の内臓外科の先駆者とされる人物です。1899年(明治32年)に開かれた第1回日本外科学会では、初代会長にも選ばれています。

ドイツ仕込みの最新の外科医療を学んだ佐藤三吉のもとであれば、当時の日本でもがんの手術は可能だったとみられます。「風、薫る」で今井益男が執刀する山本辰治の手術は、こうした史実を踏まえた設定と考えられます。

今井益男の実在モデル・佐藤三吉については、以下の記事で解説しています。

「風、薫る」今井益男(古川雄大)の実在モデルは誰?ドイツ帰りの外科教授・佐藤三吉
「風、薫る」今井益男(古川雄大)の実在モデルは誰?ドイツ帰りの外科教授・佐藤三吉朝ドラ「風、薫る」で古川雄大が演じる今井益男の実在モデルを解説。ドイツ帰りの外科教授・佐藤三吉の史実、大関和との関係、古川雄大のプロフィールを紹介します。...

 

まとめ

「風、薫る」山本辰治が受ける大腸がんの手術は、1889年(明治22年)の時代設定です。

帝都医大病院のモデルは当時最先端の帝国大学医科大学附属第一医院であり、ドイツ帰りの外科医・佐藤三吉の存在を考えると、ドラマの手術設定は不自然ではないと考えられます。

他にも「風、薫る」のキャスト・スタッフ一覧は、以下の記事でまとめています。

「風、薫る」キャスト&相関図まとめ、俳優・子役・スタッフ一覧
「風、薫る」キャスト&相関図まとめ、俳優・子役・スタッフ一覧NHK朝ドラ「風、薫る」キャスト&相関図まとめ、出演者・子役・スタッフ情報を一覧にして紹介します。...
ABOUT ME
大森拓也
放送作家、物書き、フリーライター歴20年以上です。放送作家としての仕事については、以下のブログに記載しています。
朝ドラ【再放送/見逃し】動画を見る方法
朝ドラ【再放送/見逃し】動画を見る方法

無料の「NHK ONE」なら、放送後1週間分の朝ドラ「風、薫る」が視聴可能です。

ただし、過去1週間以上前の朝ドラを見るためには、有料の「NHKオンデマンド」の契約が必要です。※ドラマの放送があった1週間後から、「NHKオンデマンド」で配信されます。

動画配信サービス「U-NEXT」経由なら「31日間無料トライアル」、初月1,000ポイントもらえるので、「NHKオンデマンド」のお試し視聴が可能です。「風、薫る」から過去作「ばけばけ」「あんぱん」「虎に翼」「ブギウギ」「おしん」なども見放題です。

\ お試し視聴可能 /

【U-NEXT】で見る

※2026/07/01時点の情報です。最新情報は「U-NEXT」公式サイトで、ご確認ください。

また、「U-NEXT」をオススメしている理由、注意点などは以下で解説しています。

関連記事:NHKオンデマンドは「U-NEXT」経由がお得