2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」【第38話】では最愛の妻”きよ”を亡くした歌麿が亡骸に寄り添いながら、彼女の顔を何枚も描き続ける姿が描かれました。
このシーンは、浮世絵師・喜多川歌麿が後に「美人大首絵(びじんおおくびえ)」を完成させる史実に、ドラマとしてのフィクションを巧みに融合させた象徴的な演出だったと考えられます。
【べらぼう第38話あらすじ】歌麿ときよの別れ、そして「大首絵」へ

蔦重(横浜流星)は、病に伏せるきよ(藤間爽子)を見舞うため、歌麿(染谷将太)のもとを訪れます。
そんな中、蔦重は鶴屋(風間俊介)の取り計らいによって、かつて決裂した山東京伝(古川雄大)と再会。出版統制という時代の波に翻弄されながらも、二人の間に新たな対話の兆しが生まれます。
そして、歌麿の看病の甲斐もなく”きよ”は静かにその生涯を閉じます。歌麿は彼女の死を理解できずに亡骸に寄り添い、黙々と”きよ”の顔を描き続けました。
それは、歌麿が生み出すこととなる浮世絵の新たな様式「美人大首絵」へとつながっていく、象徴的なシーンとして描かれています。
歌麿の美人大首絵とは?「ポッピンを吹く娘」に見る美と感情の極致

「大首絵(おおくびえ)」とは、人物の顔や上半身を大きくクローズアップして描いた浮世絵のスタイルのひとつです。喜多川歌麿によって美人画の世界に取り入れられ、大きなブームとなりました。
大首絵とは何か?顔にフォーカスした浮世絵の革新
「大首絵」は、江戸時代に流行した浮世絵の一ジャンルで、人物の顔や上半身を大きくクローズアップして描いた浮世絵の様式です。
それまでは全身を描くのが主流だった浮世絵において、この大胆な構図は革新的でした。
このスタイルが初めて現れたのは、18世紀中頃・江戸時代中期とされています。
最古の作例としては、鳥居清信による漆絵(享保年間・1716〜1736年)が知られています。
その後、勝川春章や勝川春好らが、歌舞伎役者の顔をクローズアップで描いた「役者大首絵」を多く手がけ、この構図は徐々に定着していきました。
特に喜多川歌麿が美人画に、この様式を持ち込んだことで大きく発展しました。歌麿が手がけた「美人大首絵」は、それまでになかった繊細な表情描写や感情表現で大きな人気を集めました。
背景を省き、髪型や化粧、目線、口元、仕草などを細かく描写することで、ただの「美しさ」だけではなく、その人物の感情や内面までも描き出そうとしたのです。
歌麿の代表作「ポッピンを吹く娘」

↑作:喜多川歌麿の「婦女人相十品・ポッピンを吹く娘」
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-541?locale=ja)
喜多川歌麿の代表作として知られる『ポッピンを吹く娘』は、大首絵の中でも特に評価の高い作品のひとつです。
ぽっぴん(ポッピン)とは、口で吹いて音を鳴らすガラス製のおもちゃのこと。そのガラス球をふっと吹こうとする少女の、わずかに膨らんだ唇、うっすらと伏し目がちの視線、肌の柔らかさや繊細な表情の奥にある心の揺れなど、緻密かつ絶妙なバランスで表現されています。
本作が描かれたのは寛政4〜5年(1792〜1793年)頃とされており、歌麿が「美人大首絵」の表現を極めつつあった時期にあたります。
そして、この数年後の寛政6年(1794年)には、東洲斎写楽が突如として浮世絵界に現れ、「役者大首絵」という新たな表現方法を打ち出します。
【べらぼう38話解説】”きよ”の死が歌麿の「大首絵」誕生のキッカケに

浮世絵の一大ジャンルである「美人大首絵」は、喜多川歌麿によって美人画の世界に取り入れられ、大きなブームとなりました。
歌麿の「美人大首絵」がいつ・どのようにして誕生したのかという正確なルーツは、歴史的にははっきりしていません。
「べらぼう」【第38話】では、最愛の”きよ”が亡くなったことを理解できずに、歌麿が彼女の顔を何度も模写し続けるという切ないシーンが描かれます。
“きよ”の死という大きな喪失を通して、歌麿は“人の顔に宿る感情や人の内面”を絵で残そうとするようになり、やがて「大首絵」を完成させていく演出になっているのかと推測しています。
まとめ

「べらぼう」【第38話】では、最愛の妻”きよ”を亡くした歌麿が亡骸に寄り添いながら、彼女の顔を何枚も描き続ける姿が描かれました。
のちに歌麿が手がける「美人大首絵」へと繋がっていく象徴的なシーンと推測しています。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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