2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」【第10話】蔦屋重三郎は、瀬川最後の花魁道中に合わせて「錦絵(にしきえ)」を出版します。
江戸時代に出版された「錦絵」とは何なのか?「浮世絵」「草双紙」との違いについても解説します。
江戸時代の「錦絵(にしきえ)」とは?

「錦絵(にしきえ)」とは、江戸時代中期に発展した多色摺りの木版画のことです。
それまでの単色や二色摺りの版画と異なり、赤・青・黄などの鮮やかな色を使用することで、美しく華やかな絵を生み出しました。そのため、「絵の錦」と呼ばれ、錦絵という名称が生まれました。
「錦絵」は主に浮世絵の木版画技法を用いて制作され、町人文化の発展とともに広まりました。庶民にも手に入れやすい価格で販売され、人気の役者絵、美人画、風景画、武者絵など、多彩なジャンルが描かれました。
この錦絵の発展に大きく貢献したのが、江戸の出版業者・蔦屋重三郎です。
蔦重は「喜多川歌麿」や「東洲斎写楽」などの才能ある絵師を支援し、斬新で洗練された浮世絵作品を世に送り出しました。特に歌麿の美人画は「錦絵」として人気を博しました。
「べらぼう」【第10話】では蔦重が瀬川最後の花魁道中に合わせて「錦絵」を出版するシーンが描かれます。
実際の歴史においても、1776年(安永5年)に北尾重政と勝川春章が競作した「青楼美人合姿鏡(せいろうびじんあわせすがたかがみ)」が出版されました。
↑蔦重プロデュース「青楼美人合姿鏡」
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-8773?locale=ja)
この作品は、江戸の遊郭文化を題材にした「錦絵(美人画)」であり、蔦重の出版業者としての才能を示す代表作の一つです。この成功を機に、蔦屋は本格的に「錦絵」の出版に乗り出し、後の浮世絵黄金時代の礎を築くこととなりました。
蔦重がプロデュースした錦絵「青楼美人合姿鏡」については、以下の記事で詳細をまとめています。

「浮世絵」との違い
↑蔦重プロデュース、東洲斎写楽の浮世絵「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-471?locale=ja)
「錦絵」と「浮世絵」は密接な関係がありますが、厳密には異なるものです。
「浮世絵(うきよえ)」とは、江戸時代に流行した町人文化を反映した絵画の総称であり、絵画作品そのものを指します。浮世絵には墨摺りの一枚絵も含まれ、必ずしも「錦絵」のように多色摺りである必要はありません。
一方、「錦絵」は多色摺りの浮世絵の一種であり、18世紀中頃に技術が確立されました。それ以前の浮世絵は墨摺りや限られた色彩のものが多かったが、錦絵の登場により華やかな色彩表現が可能になりました。
また、「錦絵」や「浮世絵」は一般的に一枚絵として販売されることが多いですが、シリーズものとして綴じられた版本(絵本)として販売されることもありました。
草双紙(赤本/青本/黄表紙)との違い

↑鱗形屋が出版した黄表紙、恋川春町の作・画「金々先生栄花夢」
出典:国立国会図書館ウェブサイト(https://dl.ndl.go.jp/pid/2537596/1/4)
「草双紙(くさぞうし)」とは、江戸時代の絵入りの娯楽本の総称で、小説や読み物の形態を持っています。特に、庶民向けの娯楽書として親しまれました。
「錦絵」は視覚的に楽しむ一枚絵であるのに対し、「草双紙」は文章と挿絵を組み合わせた読み物である点が大きな違いです。
「べらぼう」にも出てくる、草双紙(赤本/青本/黄表紙)については、以下の記事で詳細をまとめています。

まとめ

NHK大河ドラマ「べらぼう」で描かれる江戸時代に出版された「錦絵」について、「浮世絵」や「草双紙」との違いを紹介しました。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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