2024年4月1日(月)放送スタートの、第110作となるNHK連続テレビ小説「虎に翼」
ヒロイン・猪爪寅子は、「伊藤沙莉(いとう・さいり)」さんが演じます。「虎に翼」のあらすじは、以下の通りです。
寅子は戦前に日本初の女性弁護士となり、日本中から注目され憧れの的に。ところが、戦争へと突き進んでいく日本では法学を使える場は急速に消えてしまう。
戦後、寅子は裁判官になることを決意。寅子は困難な時代に道なき道を切り開き、弱者を救っていくリーガルエンターテインメント。
寅子は戦後に「女性裁判官」となり、その後は新潟へ、1955年(昭和30年)に東京地裁へ異動します。寅子が東京地裁で担当することになった民事裁判が「原爆裁判」です。
寅子のモデル・三淵嘉子さんも実際に「原爆裁判」を担当しています。広島と長崎への原爆投下が国際法に違反するのか問われた、「原爆裁判」の史実を紹介します。
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「虎に翼」第20週から「原爆裁判」が描かれる
寅子(伊藤沙莉)は戦後に「女性裁判官」となり、判事補から判事に昇格すると「新潟地家裁・三条市支部」に異動を命じられます。
その後、昭和30年(1955年)から東京地裁へ転勤、被爆者が政府を訴えた「原爆裁判」を担当することになります。
原告の被爆者の弁護士を務めたのは、寅子が戦前に働いた雲野法律事務所の雲野六郎(塚地武雅)です。
【虎に翼】第98話(2024/08/14)
寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は和やかに迎えられるが、百合(余貴美子)・朋一(井上祐貴)、のどか(尾碕真花)の本心はなかなか見えない。一方、東京地裁では、寅子のいる民事第二十四部で「原爆裁判」を担当することが決まる。訴状を読んだ寅子。原告代理人の欄には、雲野(塚地武雅)の名前が書かれていた。
出典:NHK番組表
「虎に翼」第20週から、物語後半の重要な山場として「原爆裁判」が描かれます。「原爆裁判」は寅子のモデル、三淵嘉子さんが実際に担当した裁判です。
また、「原爆裁判」の原告の1人で、法廷に立つ被爆者「吉田ミキ」を演じるのは、女優「入山法子」さんです。
「原爆裁判」とは?「国際法からみて違法な戦闘行為」と認定する画期的な判決文
「原爆裁判」は、1955年(昭和30年)広島と長崎の被爆者が日本政府を訴え、アメリカによる原爆投下が国際法に違反していると主張し、その損害の賠償を求めました。
「原爆裁判」は、原爆投下の違法性が初めて法定で争われた国賠訴訟の通称名です。
東京地方裁判所に勤務していた三淵嘉子さんは全ての口頭弁論に参加し、8年間にわたって裁判を担当しました。
三淵嘉子さんは「国際法からみて違法な戦闘行為」と認定する画期的な判決文にも関わっています。
「原爆裁判」の背景と経緯
「原爆裁判」は、1955年に広島市などの被爆者5人が原告となり、日本政府を相手に起こした裁判です。
裁判の背景には、アメリカによる広島と長崎への原子爆弾投下が、国際法に違反しているという主張があります。また、原告側は、原爆投下が国際法違反であることを認定させ、原水爆禁止の動きを促進する狙いがありました。
「原爆裁判」判決内容と影響
1963年12月、東京地裁はアメリカの原爆投下を国際法違反と認定します。判決では、「無防備な市民に対する差別攻撃」であり、「国際法からみて違法な戦闘行為」であるとされました。
「原爆裁判」は、世界で初めて原爆投下を国際法違反と認定したものであり、核兵器の使用に関する国際的な議論に大きな影響を与えました。
ただし、当時の国際法では個人が国家に対して損害賠償を請求することができなかったため、裁判所は原告の賠償請求は棄却しています。
三淵嘉子さんの役割、判決文の作成にも関与
裁判長は古関敏正さん、三淵嘉子さんは「原爆裁判」において、すべての口頭弁論に参加、判決文の作成にも関与します。
当時の日米両政府が原爆の責任を避けようとしていた状況下で、裁判所が原爆投下を「国際法からみて違法な戦闘行為」と認めたことは、革新的な裁判と評価されています。
この判決分により国家の責任を強調し、被爆者の救済の必要性を訴えるものとなります。
また、三淵嘉子さんが後のインタビューなどで「原爆裁判」について触れたことはなく、裁判の深刻さと合議の秘密を守るため、意図的に語らなかったとされています。
参考文献:清水聡 編著「三淵嘉子と家庭裁判所」
※「虎に翼」は実話をエピソードにしている場合もありますが、フィクションとして制作されたオリジナル作品です。
まとめ
NHK朝ドラ「虎に翼」1955年(昭和30年)に寅子は東京地裁へ異動、「原爆裁判」を担当します。
寅子のモデル・三淵嘉子さんも実際に担当した「原爆裁判」の史実を紹介しました。「原爆裁判」の詳細は、以下の書籍が発売されています。
他にも「虎に翼」の登場人物・キャスト・スタッフ一覧は、以下でまとめています。
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