2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」第30話では、田沼意次(渡辺謙)が新たな経済政策「貸金会所令(かしきんかいしょれい)」を打ち出します。
江戸時代後期の金融事情を大きく揺るがしたこの施策は、史実でも多くの議論を呼びました。江戸時代の「貸金会所令」とは、どんな政策だったのか?解説していきます。
【べらぼう第30話】田沼意次は「貸金会所令」を布告

黄表紙『江戸生艶気樺焼』が大ヒットし、日本橋の耕書堂は空前の賑わい。蔦重(横浜流星)は、狂歌絵本の制作に向けて、今注目され始めた歌磨(染谷将太)を起用します。しかし、独自性を求められた歌磨は筆が止まり、創作の壁に直面……
そのころ、一橋治済(生田斗真)から幕府の政務に関わるよう誘いを受けた松平定信(井上祐貴)は、やがて政治の中枢に身を置く決意を固めます。

そして1786年、田沼意次(渡辺謙)は「貸金会所令」を公布。大名の借金問題を整理しようとしたこの政策は、大名たちの強い反発を招くことに……
江戸時代の貸金会所令(かしきんかいしょれい)とは?先進的な金融改革

「貸金会所令(かしきんかいしょれい)」とは、老中・田沼意次が打ち出した金融制度です。
現代でいえば、国が直接お金を集めて運用する銀行や、国が発行する国債のような制度に近く、江戸時代としては非常に斬新な金融策と言われています。
制度の目的とは?江戸幕府の「拝借金」に代わる新しい仕組み
「天明の大飢饉」で資金難に陥った大名を救済し、経済を立て直すことが狙いでした。融資の条件は年利7%と市中より低く、大名の財政再建を促す計画です。
背景には、幕府の財政が逼迫し、公儀の御金蔵(幕府が蓄えるお金)から大名へ貸し付ける「拝借金」が続けられなくなった事情がありました。
つまり、幕府が自前の資金ではなく、全国から資金を集めて貸し出す仕組みを作ろうとしたのです。
「べらぼう」では蔦重の入銀(自分でお金を払って狂歌を載せる)による狂歌絵本を作るやり方を見て、田沼意次は「貸金会所令」を思いつきます。この描写はドラマの創作で、史実的な裏付けはありません。
資金の集め方とは?貸金会所令の原資と徴収方法
幕府は全国の寺社・山伏、百姓、町人から広く資金を徴収しました。この徴収は5年間、毎年行われ、集めた資金は幕府が設けた「貸金会所」を通じて大名に貸し出されました。
返済の仕組みとは?大名が借金を返すまでの流れ
大名は「貸金会所」から借りた資金を、5年後に利息を付けて出資者へ返します。この際、利息からは事務手数料が差し引かれる仕組みでした。
「貸金会所令」の評価と反発理由
「貸金会所令」は発令からわずか2か月で撤回されました。公式には「天明の洪水」が撤回理由とされていますが、以下のような強い反発がありました。
- 飢饉が続く中での“増税”として領民や町人から強い不満
- 大名も、借金を通じて藩の財政事情が幕府に知られることを嫌って反発
「貸金会所令」は全国的に強制力をもって資金を集める一方、一定期間後には利息を付けて返還するという、現代の制度にも通じる革新的な仕組みでした。
「天明の大飢饉」による経済混乱、「貸金会所令」の失敗や「天明の洪水」、一橋治済・松平定信らによる圧力が重なり、田沼意次はついに政権の座を追われることに……
「べらぼう」で渡辺謙さんが演じる「田沼意次」の政治、生涯については以下の記事で詳細をまとめています。

まとめ

「べらぼう」で描かれる「貸金会所令」は、田沼意次が主導した先進的な経済対策でしたが、大名・商人双方の反発でうまく機能しませんでした。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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