「風、薫る」派出看護とは?直美が始める派出看護婦会と訪問看護の違い
「風、薫る」【第18週】、大家直美(上坂樹里)が、病院へ来られない病人のもとへ看護を届けるため、「派出看護」を始めようと動き出します。
そして【第88話】では、柳田しのぶ(木越明)とともに「派出看護婦会」を立ち上げます。
派出看護とはどのような仕組みだったのか、直美の実在モデル・鈴木雅(すずき・まさ)が設立した「慈善看護婦会」の史実とあわせて紹介します。
「風、薫る」第18週|直美がしのぶと派出看護婦会を立ち上げる
【第86話】直美は、捨松(多部未華子)に派出看護について相談を持ちかけます。
美津(水野美紀)や卯三郎(坂東彌十郎)らの協力を得ながら準備を進め、【第88話】で、梅岡女学校付属看護婦養成所の同級生だった柳田しのぶとともに「派出看護婦会」を始めることになります。
病院で患者を待つのではなく、病人が暮らしている場所へ看護婦が出向く。トレインドナースとして病院で働いてきた直美にとって、大きな方向転換となる決断です。
派出看護とは?看護婦が患者の家庭へ出向く明治の仕組み
「派出(はしゅつ)」とは、仕事をする人を特定の場所へ送り出すという意味の言葉です。
派出看護とは、看護婦会に所属する看護婦が依頼を受けて、患者の自宅や病院へ出向いて看護を行う仕組みのことを指します。
「派出看護婦会」とは、患者や家族からの依頼を受けて、必要な場所へ看護婦を派遣する民間の組織です。看護婦は看護婦会に籍を置き、依頼のあった家庭や病院へ出向いて働きました。
明治時代は、病院へ行けば十分な看護が受けられるという環境がまだ整っていませんでした。
病院に直接雇用される看護婦はまだ少なく、入院患者の身の回りの世話を、家族や患者側が雇った看護婦が担うことも珍しくありませんでした。
そのため派出看護婦は、患者の自宅だけでなく病院へ派遣されることもあり、いずれの場合も患者や家族と個別に契約を結んで看護にあたっていました。
派出看護と現在の訪問看護の違い
看護師が病人のいる家庭へ出向く点は共通していますが、派出看護と現在の訪問看護は同じ制度ではありません。
明治の派出看護は、多くの場合、患者や家族が看護婦会へ直接依頼し、料金を支払って看護婦を雇う形でした。長時間滞在したり、住み込みで看護したりすることもありました。
ただし、慈善看護婦会のように、困窮者には無料で看護を提供する組織もありました。
現在の訪問看護は、主治医の「訪問看護指示書」に基づいて訪問看護ステーションなどから看護師が訪問し、医療保険や介護保険が使えます。
派出看護は「現在の訪問看護そのもの」ではなく、訪問看護の前身のひとつです。
直美のモデル・鈴木雅が設立した「慈善看護婦会」
大家直美の実在モデルとされる鈴木雅も、実際に「派出看護婦会」を組織した人物です。
帝国大学医科大学附属第一医院の内科で看護婦取締を務めたのち、1891年(明治24年)、東京・本郷に「慈善看護婦会」を設立しました。
ただし、看護婦を家庭へ派遣する試み自体は1885年(明治18年)に有志共立東京病院看護婦教育所で行われた例があるため、「日本で初めて」ではなく民間の派出看護婦会を組織した先駆者です。
慈善看護婦会はのちに「東京看護婦会」と改称され、りんのモデル・大関和(おおぜき・ちか)もここで鈴木雅を支えながら活動しています。
直美の実在モデル・鈴木雅の生涯については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
「風、薫る」【第18週】で、直美はしのぶとともに「派出看護婦会」を始めます。
派出看護とは、依頼を受けた看護婦会の看護婦が、患者の自宅や病院へ出向いて看護を行う仕組みです。直美のモデル・鈴木雅も、1891年に東京・本郷で「慈善看護婦会」を設立した先駆者でした。
他にも「風、薫る」のキャスト・スタッフ一覧は、以下の記事でまとめています。
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