2025年後期放送のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロイン・松野トキは、「髙石あかり」さんが演じます。ドラマのあらすじは、以下の通りです。
外国人教師「小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)」と、その妻「セツ」をモデルにしたオリジナル作品。
舞台は明治時代の松江。没落士族の娘・松野トキ(髙石あかり)は、怪談を愛する外国人教師・ヘブン(トミー・バストウ)と出会い、心を通わせていく。
言葉も文化も異なるふたりは、怪談に込められた人々の想いを通じて、互いを支え合いながら、目には見えない“人の情”に寄り添って生きていく。
「ばけばけ」【第39話】トキがアイロンがけに挑戦する場面が登場しました。
ドラマの時代設定は1890年(明治23年)ですが、当時の日本にすでにアイロンは存在していたのでしょうか?今回は、明治期のアイロンの歴史や普及状況について解説します。
「ばけばけ」第39話、トキはアイロンがけに失敗

「ばけばけ」【第39話】では、トキがヘブン(トミー・バストウ)のワイシャツをアイロンがけする場面が描かれました。
ところが、食事を届けに来たウメ(野内まる)と会話に夢中になり、アイロンをシャツに置きっぱなしに。結果、シャツが焦げてしまうというハプニングがありました。
劇中で使うトキのアイロンは、形状から推測すると外国から輸入した「炭火式アイロン」と考えられます。
この時期、「炭火式アイロン」は、史実として明治期の松江に本当に存在していたのでしょうか。
アイロンの歴史と明治時代の普及状況|日本での使われ方とは?

日本のアイロンの起源、そして劇中に登場した「炭火式アイロン」は明治時代の島根・松江でも手に入ったのでしょうか。
火熨斗(ひのし)とは?日本伝統のアイロンの起源と使い方
布のしわを伸ばす火熨斗(ひのし)を使う女性と、使い方を覚えたいのか、これを見る若い女性。振袖だけでなく、リボンのように結んだ帯からも若々しさが伝わります。火熨斗は中に炭火を入れて使いました。「菊川英山」展」前期(~11/26)にて展示中。 pic.twitter.com/8SfhHSGWCF
— 太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (@ukiyoeota) November 5, 2017
日本には古くから、布のしわを伸ばす道具として「火熨斗(ひのし)」が存在していました。
火熨斗は、平安時代の文献にも登場する伝統的な道具で、金属製の容器に炭火を入れて、その重みと熱で布を整えるものでした。和服文化とともに発展し、昭和初期まで広く使われていました。
西洋式の「アイロン」とは形が異なるものの、基本的な用途や使い方には共通点が多く、すでに布を「熱で伸ばす」文化は日本に根付いていたと言えます。
西洋式アイロンの日本への伝来時期と普及の背景
現在のアイロンの原型である西洋式の「炭火式アイロン」は、幕末の開国以降に日本へと伝来しました。
記録によると、1850年代のペリー来航時にすでに西洋式アイロンが日本に持ち込まれており、明治時代には輸入品として全国で流通するようになります。
明治時代に普及したのは、本体内部に炭を入れて加熱する「炭火式アイロン」で、火熨斗と異なり、蓋や煙突、空気穴が備えられており、安全性や機能性が大きく向上していました。
特に都市部や港町では、舶来品を扱う商店での購入も可能だったため、「ばけばけ」でトキがアイロンをかけていた明治23年の松江で使用されていたという設定にも十分な信ぴょう性があります。
西洋式アイロンは明治時代の女性にとって身近だった?
西洋式アイロンは、当初こそ「舶来の高級品」とされましたが、洋装の普及とともに徐々に一般家庭にも広がっていきました。
また、日本には「火熨斗」という類似の道具があったため、西洋式アイロンの導入は決して突飛なものではなく、文化的に受け入れやすい背景が整っていたと言えるでしょう。
使用時には、水を数滴落として温度を確かめたり、焦がさないように”あて布”を使ったりと、独自の工夫も取り入れられていました。
1890年の松江でアイロンは買えた?炭火式アイロンの入手可能性を考察
1890年(明治23年)当時、「ばけばけ」の舞台となる松江は、明治期には県庁所在地であり、教育・文化の中心地でもありました。
また、松江は海運を通じて大阪や神戸といった都市と結ばれており、舶来の雑貨や生活道具が流通していたことは十分に考えられます。
劇中では、トキがアイロンを購入する場面は描かれていないため、あくまで推測にはなりますが、もともとヘブンが渡航時に持参していた可能性もあります。
あるいは、松江で唯一の舶来品も扱う商店として登場する「山橋薬舗」で、トキがアイロンを購入したという設定かもしれません。
「山橋薬舗」は、トキが初めてビールを買った店として登場しており、明治期においても先進的な品揃えを持つ店として描かれています。

松江で唯一の舶来品店「山橋薬舗」の店主・山橋才路を演じるのは、個性派俳優「柄本時生」さんです。「山橋薬舗」の実在モデルについては、以下の記事で解説しています。
まとめ

朝ドラ「ばけばけ」【第39話】に登場した炭火式アイロンは、史実に即した道具として描かれており、明治23年の松江においても存在した可能性が高いと考えられます。
日本では古くから火熨斗という道具で布のしわを伸ばす文化があり、西洋式の「炭火式アイロン」も明治期には自然に受け入れられた可能性があります。
他にも「ばけばけ」のキャスト・スタッフ一覧は、以下でまとめています。

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