2025年1月5日（日）スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」第13話『お江戸揺るがす座頭金』では、江戸の町を騒がせる“座頭金”の存在にスポットが当たります。
「座頭金（ざとうがね）」とは何なのか？ドラマの展開とあわせて、歴史的背景をもとにわかりやすく解説します。
座頭金（ざとうがね）とは？
「座頭金（ざとうがね）」とは、江戸時代に盲人の組織「当道座（とうどうざ）」が運営していた公認の高利貸し制度を指します。「当道座」の詳細や歴史的背景は以下で詳細を解説しています。
この制度は徳川幕府によって認められていたもので、盲人たちは按摩（あんま）や鍼灸（しんきゅう）などの職業に加え、正式に金貸し業を営むことができました。
特に地位の高い盲人（検校など）は、この座頭金によって巨額の富を得ることができたのです。
「べらぼう」では、瀬川（小芝風花）を身請けする鳥山検校は「市原隼人」さんが演じています。「当道座」のトップであった鳥山検校の史実については、以下にまとめています。
江戸時代の「座頭金」の特徴とは？
江戸時代の「座頭金」の特徴は以下の通りです。
貸付対象は庶民から武士まで
座頭金は、町人や農民といった庶民層だけでなく、旗本や大名などの武士階級にも貸し付けが行われていました。武士たちは財政難に苦しむことも多く、生活費を座頭金に頼ることも珍しくありませんでした。
非常に高い金利
座頭金の金利は月利8分（年利でおよそ100％）にも及ぶことがありました。しかも返済期限や担保の取り立てが非常に厳しく、「あこぎな取立て」として恐れられる存在でした。
盲人社会の支援機構としての役割
座頭金は単なる金貸しではなく、盲人たちが生活基盤を維持するための経済的支柱でもありました。集めた利息は、当道座の内部で昇進時の納付金や福祉資金として活用され、盲人社会を支える役割を果たしていたのです。
歴史的背景は？徳川家康の盲人優遇政策から生まれた座頭金制度
この座頭金制度は、徳川家康による盲人優遇政策から始まったとされています。当時の盲人たちは按摩や音楽といった職に就いていたものの、経済的自立を図るうえで座頭金は重要な役割を果たしました。
一方で、一部の検校はこの制度を悪用し、金利で莫大な財を築いて社会的影響力を強めるなど、「富と権力の象徴」としての側面も持っていました。
「べらぼう」第13話のストーリーと座頭金
「べらぼう」第13話では、蔦重（横浜流星）が、鱗形屋（片岡愛之助）が再び偽板の罪で捕らえられた背景に「座頭金」が関わっていることを知ります。
鱗形屋は、鳥山検校（市原隼人）を頭とする金貸しグループ＝座頭金に証文を流し、そこから抜け出せなくなって罪を犯したのです。
一方、江戸城では旗本の娘が借金のかたに売られているという事実が発覚し、田沼意次（渡辺謙）は長谷川平蔵（中村隼人）に「座頭金の実態を探れ」と命じます。
このように、座頭金は一庶民の問題ではなく、幕府中枢をも揺るがす闇の金融ネットワークとして描かれているのです。
史実でも「鳥山検校」は、その強引な貸付と取り立てが幕府内でも問題視され、1778年（安永7年）に処罰され、資産没収のうえ追放処分となりました。
まとめ
「座頭金（ざとうがね）」は、江戸時代の高利貸し制度です。盲人たちの経済的自立を支える一方で、社会の歪みや不平等を浮き彫りにする制度でもありました。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。
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