2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
江戸時代の出版文化を支えた蔦屋重三郎の時代には、庶民向けの書籍が数多く出版されました。その中でも重要なジャンルが、江戸の風俗を描いた「洒落本(しゃれぼん)」です。
「黄表紙」と並び、「洒落本」は江戸庶民に大人気となりましたが、風紀を乱すとして幕府から弾圧の対象にもなりました。
洒落本とは?江戸の遊郭文化を描いた大人の読み物

「洒落本(しゃれぼん)」とは、18世紀後半に流行した大人向けの風俗小説です。
主に吉原などの遊郭を舞台に、恋愛模様、客と遊女のやり取り、粋な振る舞いや世間の風刺を軽妙に描いた短編が中心となっています。
洒落本の特徴は以下の通りです。
- 風刺とウィットに富んだ会話中心のストーリー
- 庶民の「洒落(しゃれ)」文化を反映
- 軽妙な文章と洒脱な挿絵の組み合わせ
当時、都市化が進む江戸では、こうした粋で洒落た文化が花開き、洒落本は町人たちの間で爆発的な人気を博しました。
また、「赤本」「青本」「黄表紙」の違いについては、以下の記事で解説しています。

蔦重が手掛けた洒落本の代表作、朋誠堂喜三二や山東京伝
蔦重は、洒落本ジャンルでも多くのヒット作を世に送り出しました。蔦重とタッグを組んだ作家と代表作には以下があります。
朋誠堂喜三二(ほうせいどう きさんじ)

- 蔦重が組んだ作家の一人「朋誠堂喜三二(ほうせいどう きさんじ)」
- 軽妙な筆致で吉原の情景を描いた
- 代表作:『遊子方言(ゆうしかたことば)』など
「べらぼう」では、平沢常富(朋誠堂喜三二)は役者「尾美としのり」さんが演じています。朋誠堂喜三二の生涯については、以下の記事で詳細をまとめています。
山東京伝(さんとうきょうでん)

- 洒落本を文学の域に高めた作家「山東京伝(さんとうきょうでん)」
- 江戸の町人文化を鋭く風刺しながらも洒落た表現で人気を集めた
- 代表作:『通言総籬(つうげんそうまがき)』『仕懸文庫(しかけぶんこ)』など

上記は作:山東京伝の洒落本『通言総籬(つうげんそうまがき)』1787年
出典:国立国語研究所「日本語史研究資料」所蔵
「べらぼう」では北尾政演(山東京伝)は役者「古川雄大」さんが演じています。山東京伝の生涯については、以下の記事で詳細をまとめています。

蔦重は、こうした洒落本作家たちと手を組み、江戸町人文化の最先端を発信していました。
蔦重は洒落本で処罰を受ける【寛政の改革と弾圧】

洒落本は人気を集める一方で、
- 「風紀を乱す」
- 「道徳に反する」
といった理由から、幕府の取締り対象になっていきます。
1790年頃、松平定信による寛政の改革が始まると、江戸の町人文化に対する締め付けが一層強化されました。
この流れの中で、洒落本作家の山東京伝は手鎖50日の刑に、出版を担当していた蔦重も、営業停止や財産没収といった厳しい処罰を受けることになります。
「洒落本」が特に問題視されたのは、吉原などの遊郭を舞台に、恋愛・性愛・風俗をリアルに描いた内容にあります。こうした描写は、当時の道徳観から逸脱し、風紀を乱すものとして幕府に目を付けられました。
江戸時代の出版文化を切り拓いた蔦重でしたが、時代の規制の波には逆らえず、洒落本によって大きな打撃を受けることになったのです。
まとめ

NHK大河ドラマ「べらぼう」洒落本は、江戸の粋な町人文化を象徴する文学ジャンルであり、黄表紙とは異なるリアリズムで人気を集めた一方、幕府の規制にもさらされました。
蔦重はこの洒落本ブームの中心に立ち、江戸の大衆文化をリードしましたが、時代の風に逆らうリスクも背負うことになりました。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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