2023年10月2日放送スタートの、第109作となるNHK連続テレビ小説「ブギウギ」
ヒロイン・福来スズ子(花田鈴子)は、「趣里(しゅり)」さんが演じます。「ブギウギ」のあらすじは、以下の通りです。
大正の終わり、大阪・下町の小さな銭湯の看板娘・花田鈴子は、歌って踊るのが大好きな天真爛漫な女の子。鈴子は「歌と踊りでみんなを笑顔にしたい」と、道頓堀に新しくできた歌劇団に入団。生まれ故郷・香川への思い、大阪の華やかなステージ、そして夢を追いかけ東京へ・・・“ブギの女王”と呼ばれる戦後の大スター歌手となっていくヒロインの物語。
朝ドラ「ブギウギ」に登場する作曲家・羽鳥善一(草彅剛)は、軍の陸軍報道班員として上海を訪れます。
羽鳥善一のモデルは、作曲家「服部良一」さんです。「服部良一」さんは戦前、実際に上海へ3回の渡航経験があります。
戦局が悪化する中、ジャズなどの音楽は「敵性音楽」として厳しく取り締まわれるので、上海に渡りジャズの活動の場を求めたともされています。
そして、「服部良一」さんが「”東京ブギウギ”が実質的に生まれたのは上海」と語っているように、上海は「ジャズの都」とも呼ばれていました。
朝ドラ「ブギウギ」でもエピソードとして紹介される、「服部良一」さんの上海渡航と、戦争末期に開催された上海の音楽会「夜来香ラプソディ」の史実を紹介します。
服部良一の3回の中国・上海渡航とは?
「服部良一」さんが戦前、中国・上海を訪れたのは以下の3回です。
- 1938年(昭和13年)「別れのブルース」のヒットの翌年、上海に渡る
- 1941年(昭和16年)映画「上海の月」の音楽監督として2度目の上海渡航
- 1944年(昭和19年)6月 陸軍報道班員としての3度目の上海渡航
1842年の南京条約により開港した上海は、欧米の新しい文化や風俗が流入していて、日本から近くにあるアメリカ・ヨーロッパと言われました。
戦前のアメリカ旅行は、日本人にとっては夢のようなものです。日本人にとって欧米文化に触れるなら、船に乗って一晩で行ける上海は人気となりました。
1920年~30年代、上海は「ジャズの都」とも呼ばれており、日本の音楽家も例外ではなく、本場のジャズを求めて上海に渡ったそうです。
「服部良一」さんも上海に行きたいと思っていた、音楽家の一人です。1回目は日中戦争開始から8ヶ月後、慰問団のサクソフォン奏者として上海に渡りました。
「服部良一」さんの3回目の上海行きは、軍に召集された陸軍報道班員の任務としてです。
※ドラマ「ブギウギ」では、「服部良一」さん3回目の上海渡航がエピソードとして描かれます。
服部良一、3回目の上海は陸軍報道班員として
「服部良一」さんは1944年6月、軍に陸軍報道班員として召集されます。任務地は上海で、「服部良一」さんにとって3回目の上海渡航となりました。
「服部良一」さんが軍から与えられていた任務は、「音楽を通じで文化工作」を行うことです。
表向きは音楽会、講演会などをして地元市民と融和を図ること目的でした。
軍の思惑としては、「文化工作」にはスパイ活動や敵の要人の懐柔などの目的もあったようです。(服部良一さんに、「音楽を通じで文化工作」以外の任務があったかは不明です)
そして、1944年頃の食糧難の日本とは違い、上海には音楽の規制もなく、食料も豊富にありました。(中国料理・西洋料理が食べ放題、ビールも飲み放題だったそうです)
「服部良一」さんは日本の家族の手紙に「パパは毎日、宴会です」と書き、戦地に行った父親を心配する家族は、あっけに取られたそうです。
上海の音楽会「夜来香ラプソディ」が人気に、ブギウギの土台を築く
※画像はイメージです
上海に渡った「服部良一」さん、本場のジャズ・シーンや作曲家たちと交流します。
戦争末期、派手なことをしないと日本は追い込まれた印象を与えるとして、服部良一さんに日本陸軍から映画スターで人気歌手・李香蘭を招いた音楽会の依頼が来ます。
そして日本全土が空襲で焼け野原となっている1945年の夏、歌手・李香蘭、演奏・上海交響楽団、編曲と指揮を服部良一さんが担当した、「夜来香(イエライシャン)ラプソディ」という演奏会が開かれます。
李香蘭が歌う「夜来香」をモチーフに、服部良一さんは「夜来香ラプソディ」を編曲します。「夜来香ラプソディ」のラストでは、ブギウギのリズムを使いました。
フルオーケストラによるシンフォニック・ジャズの演奏会「夜来香ラプソディ」は、上海はじまって以来の人気となりました。
服部良一さんは、以下の参考文献で「”東京ブギウギ”が実質的に生まれたのは上海」と語っているように、上海でジャズやブギウギの土台を作り上げていきました。
参考文献:上海ブギウギ1945 服部良一の冒険
朝ドラ「ブギウギ」でも、羽鳥善一(草彅剛)が陸軍報道班員として上海を訪れ、演奏会を開くエピソードがあります。
※「ブギウギ」は実話をエピソードにしている場合もありますが、フィクションとして制作されたオリジナル作品です。
上海で終戦を迎えた「服部良一」さんは日本へ帰国、「笠置シヅ子」さんと敗戦後の日本人を元気づけるため「東京ブギウギ」を作曲します。
「東京ブギウギ」の史実については、以下でまとめています。
羽鳥善一、上海エピソードは第13週から描かれる
朝ドラ「ブギウギ」では、作曲家・羽鳥善一(草彅剛)の音楽活動は【第13週】から描かれます。
第62話(2023/12/26)、NHK番組表の【あらすじ】は以下の通りです。
結核が再発した愛助(水上恒司)の看病を、三鷹の家で続けることになったスズ子(趣里)は、日々愛助のために身を尽くしていた。そのおかげか愛助の病状は少しずつ快方へ向かっていた。しかし、看病を続けるスズ子は長らくステージから遠ざかっており、マネージャーがいなくなった楽団も全く活動ができない状況が続いていた。一方、上海にいる羽鳥善一(草彅剛)は、中国の音楽家たちと交流し、新たな音楽を模索していた。
出典:NHK番組表
羽鳥善一が上海で出会った人々
#ブギウギ キャスト発表 第10弾!
羽鳥先生が上海で出会う人々。
🎤 李香蘭役 #昆夏美 さん
昆さんはミュージカルの第一線で活躍しています。
「夜来香」の歌に注目!🎼 黎錦光役 #浩歌 さん
浩歌さんは中国で最も有名な日本人俳優です!
大河「#光る君へ」にも出演しますhttps://t.co/5a0kIUvL92— ドクター橋爪│プロデューサー@ブギウギ (@drhashizume) December 6, 2023
朝ドラ「ブギウギ」で、作曲家・羽鳥善一(草彅剛)が出会う上海の音楽家などは以下の通りです。
- 李香蘭(昆夏美)…中国で活躍する歌手
- 黎錦光(浩歌)…中国人作曲家、「夜来香」を作曲
※左は役名、カッコ内は演じる役者名
どちらも、実在の人物で「役名=史実の人物」です。
李香蘭(り・こうらん)は、昭和13年に、日本人ながら中国人の女優としてデビュー。本名は「山口淑子(やまぐち・よしこ)」です。「李香蘭」は、「昆夏美」さんが演じます。
黎錦光(れい・きんこう)は上海に来た服部良一さんと交流した、中国人の作曲家です。李香蘭が歌う「夜来香」を作詞・作曲してます。黎錦光は、「浩歌(ハオゴー)」さんが演じています。
まとめ
NHK朝ドラ「ブギウギ」羽鳥善一(草彅剛)は、軍の陸軍報道班員として上海を訪れます。
羽鳥善一のモデル「服部良一」さんは戦前、上海へ3回の渡航経験があり、上海でジャズやブギウギの土台を作り上げました。
他にも「ブギウギ」の登場人物・キャスト一覧は、以下をチェックしてください。
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