2025年後期放送のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロイン・松野トキは、「髙石あかり」さんが演じます。ドラマのあらすじは、以下の通りです。
外国人教師「小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)」と、その妻「セツ」をモデルにしたオリジナル作品。
舞台は明治時代の松江。没落士族の娘・松野トキ(髙石あかり)は、怪談を愛する外国人教師・ヘブン(トミー・バストウ)と出会い、心を通わせていく。
言葉も文化も異なるふたりは、怪談に込められた人々の想いを通じて、互いを支え合いながら、目には見えない“人の情”に寄り添って生きていく。
「ばけばけ」第5話から、「髙石あかり」さん演じる18歳のトキが本格的に登場。トキは家族の借金を返済するため、親戚・雨清水傳(堤真一)が営む織物工場で働くことに。
史実でも、トキのモデル「小泉セツ」は実父・小泉湊が作った工場で働いています。
ばけばけ第5話あらすじ|トキは雨清水傳の織物工場で働く

明治19年、松野トキ(髙石あかり)は、没落した家の借金返済のため、親戚の雨清水傳(堤真一)が営む織物工場で働いています。
しかし、借金は想像以上に重く、松野家の生活は困窮を極めます。そこへ借金取りの森山(岩谷健司)が現れ、「トキを遊郭に売って返済しろ」と迫る場面も。
トキは家族を守るため、婿をとって働き手を増やすという策を提案。工場で働くチヨ(倉沢杏奈)、せん(安達木乃)とともに、有名な恋占いで将来の相手を占うことに。
小泉セツは実際に機織り工場で働く「ばけばけ」史実モデルを解説

「ばけばけ」で描かれるトキの工場での労働シーンは、実在モデル・小泉セツさんの史実に基づいています。
11歳で工場に出た小泉セツ|家族を支えた少女の実話
小泉セツさんは1868年(明治元年)に松江藩士の家に生まれますが、明治維新によって家は没落。わずか11歳のときに進学をあきらめ、実父が立ち上げた織物会社で働き始めました。
家計を支えるための重労働をこなしながらも、彼女は「たくましい女性」と呼ばれ、物語や怪談を語る“語り部”としての感性もこの頃に育まれていきます。
武士から実業家へ「雨清水傳」のモデルは小泉セツの実父・小泉湊
「ばけばけ」に登場する雨清水傳(演:堤真一)のモデルは、小泉セツの実父・小泉湊です。
小泉湊はもともと松江の上級藩士でしたが、明治維新により士族の特権を失い、生活が苦しくなったことで、自ら織物会社を立ち上げた人物です。
小泉湊は士族の娘を集めて織物工場を経営し、当初は順調で、工場の反物は広く大阪まで販売されました。セツが11歳で働き始めたことから、湊が工場を設立したのは、1879年(明治12年)以前と推定されます。
これはちょうど、松江を含む地方で士族層が生活再建のために織物・製糸などの産業に転じていた時期と重なり、当時としては珍しくない動きでした。
「小泉セツ」さんは誕生して間もなく、親戚にあたる稲垣家に養女として迎えられます。セツさんは生まれながらにして小泉家の娘でありながら、育ちは稲垣家の養女という運命を背負うことになります。
小泉家と稲垣家の関係の詳細については、以下の記事で史実を解説しています。

工場の倒産・閉業時期は不明、小泉セツは八雲と出会う
この織物工場がその後どうなったか、倒産・閉業の時期については明確な史料が残っていません。
セツさんは18歳で結婚(1886年)し、一度は家庭に入りますが、22歳で離婚。家計を支えるために女中として働きはじめ、やがて英語教師・ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と出会います。
なお、朝ドラ「ばけばけ」で「髙石あかり」さんが演じる松野トキの実在モデル「小泉セツ」さんの生涯については、以下の記事で詳細を解説しています。

まとめ

朝ドラ「ばけばけ」ヒロイン・トキは借金返済のため、雨清水傳(堤真一)が営む織物工場で働きます。
史実でも、実在モデル「小泉セツ」さんは11歳で実父・小泉湊が設立した織物工場に入り、家族を支えながらたくましく生き抜きました。
他にも「ばけばけ」のキャスト・スタッフ一覧は、以下でまとめています。
