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【べらぼう第39話】教訓読本(仕懸文庫など)で処罰!蔦重と山東京伝の処罰の史実

【べらぼう第39話】教訓読本(仕懸文庫など)蔦重と山東京伝の処罰の史実とは?

2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」

「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。

“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。

田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。

 

「べらぼう」【第39話】では、版元の蔦屋重三郎と戯作者の山東京伝が発売した本『教訓読本』で幕府に処罰されてしまいます。

絶版となった洒落本『仕懸文庫』『青楼昼之世界錦之裏』『娼妓絹籭』や、蔦重と京伝の処罰について紹介します。

 

 

【べらぼう第39話あらすじ】蔦重、京伝の『教訓読本』を売り出すも幕府に摘発

「べらぼう」【第39話】では、地本問屋(書物問屋)の株仲間を立ち上げた蔦重(横浜流星さん演じる蔦屋重三郎)が、役人たちをうまく取り込んで検閲をかいくぐり、山東京伝(古川雄大)の書いた三つの作品を『教訓読本』と題したシリーズで江戸に売り出します。

やがて年が明け、しばらく経ったある日、蔦屋重三郎の店「耕書堂」に南町奉行所の与力と同心が踏み込みます。

役人たちは京伝作の『教訓読本』三部作について発禁(絶版)を命じ、店内の本をすべて押収しました。さらに蔦重と京伝はその場で捕らえられ、蔦重は連行されることに…

 

山東京伝の洒落本『仕懸文庫』『青楼昼之世界錦之裏』『娼妓絹籭』とは?作品内容と摘発の背景を解説

山東京伝の洒落本『仕懸文庫』『青楼昼之世界錦之裏』『娼妓絹籭』とは?

江戸時代後期に流行した「洒落本(しゃれほん)」とは、遊郭など当時の色街を題材に滑稽味たっぷりに描いた、大人向けの風俗小説です。

山東京伝はこの洒落本の人気戯作者(小説家)で、蔦屋重三郎に見出され数々のヒット作を生み出しました。その京伝が寛政3年(1791年)に蔦重から刊行した洒落本『仕懸文庫』『青楼昼之世界錦之裏』『娼妓絹籭』です。

その表紙には検閲を意識して「教訓読本」と大きく記されていました。この「教訓読本」という名称は、内容をぼかすための体裁であり、実際には洒落本として遊郭や恋愛模様を描いた作品です。

しかし、当時の松平定信による「寛政の改革」厳しい出版統制のもとで、これらの作品はいずれも好色な内容と見なされ、発禁処分に。蔦重と京伝は重罰を受けました。

 

『仕懸文庫(しかけぶんこ)』

↑版元:蔦屋重三郎、作:山東京伝『仕懸文庫』1791年
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2533925/1/2)

『仕懸文庫』は深川の遊里を題材にしながら、検閲を避けるため鎌倉・大磯を舞台にした『曽我物語』風の構成に偽装した洒落本です。

 

↑版元:蔦屋重三郎、作:山東京伝『仕懸文庫』1791年
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2533925/1/8)

風俗描写を道徳的な物語に見せかける工夫も。実際には遊女と客のやりとりを写実的に描いた内容で、京伝の構成力の高さが際立ちます。

 

『娼妓絹籭(しょうぎきぬぶるい)』

『娼妓絹籭』は山東京伝の洒落本三部作の一つで、吉原の遊女と客の洒落た会話や恋の駆け引きを描いた作品です。

検閲を避けるため、近松門左衛門の『冥途の飛脚』の登場人物・梅川と忠兵衛を用いて、大坂新町を舞台とする体裁にしましたが、実際は江戸吉原の風俗を写実的に描写しています。

 

『青楼昼之世界錦之裏(せいろうひるのせかいにしきのうら)』

『青楼昼之世界錦之裏』は遊女たちの昼間の素顔や日常生活を描いた作品で、夜の華やかさとは対照的な世界をユーモラスに表現しています。

浄瑠璃『夕霧伊左衛門』の世界に仮託して上方を舞台に設定し、検閲をかわす工夫を凝らしました。遊女たちの何気ない会話や筆まめな姿を通して、吉原の“錦の裏側”を描いた人間味ある風俗作品です。

 

蔦重と山東京伝に科された処罰内容(手鎖五十日と身上半減)

蔦重と山東京伝に科された処罰内容(手鎖五十日と身上半減)

この1791年(寛政3年)の摘発によって、山東京伝と蔦屋重三郎はそれぞれ次のような処罰を受けました。

京伝と蔦重に下された「手鎖五十日」と「財産半減の処分」は当時としても異例の重い処罰とされます。

 

山東京伝(北尾政演) 手鎖五十日の刑、筆禍事件と創作への影響

両手首に鉄の手錠をかけたまま50日間の自宅謹慎を命じられました。人気作家だった京伝にとって創作活動を断たれる屈辱的な罰であり、精神的にも大きな痛手となりました。

この筆禍事件(著作が原因で罰を受ける事件)によって、京伝は「もう筆を折ろうか」と落ち込んだと伝えられています。盟友の蔦重が励まし、京伝は後に心機一転して作品執筆を続けました。

「べらぼう」で古川雄大さんが演じる天才・戯作者「北尾政演(山東京伝)」の生涯については、以下の記事でまとめています。

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蔦屋重三郎(蔦重) 財産半減の処分、出版人としての転機と晩年の苦悩

これは財産の半分を没収されるという厳罰です。具体的には重過料(科料)として1年分の売上の50%を召し上げられ、蔦重はそれまで築いた財産の大部分を失いました。

出版元としても信用を失墜し、この事件をきっかけに蔦屋は黄表紙や洒落本の発行を断念せざるをえなくなったといわれます。

蔦屋重三郎はこの事件の6年後、1797年(寛政9年)に48歳でこの世を去っており、晩年に与えたダメージの大きさもうかがえます。

「べらぼう」で横浜流星さんが演じる主人公「蔦屋重三郎」の生涯については、以下の記事でまとめています。

「べらぼう」主人公・蔦屋重三郎の史実/生涯とは?「横浜流星」が演じる
「べらぼう」主人公・蔦屋重三郎の史実/生涯とは?「横浜流星」が演じるNHK大河ドラマ「べらぼう」主人公・蔦屋重三郎は、俳優の「横浜流星」さんが演じます。江戸のメディア王と呼ばれる蔦重の生涯を紹介します。...

 

まとめ

「べらぼう」【第39話】では「寛政の改革」下で、蔦重と京伝の受難が描かれます。洒落本『仕懸文庫』などが出版規制に触れ、京伝は手鎖50日、蔦重は財産半減の処罰を受けました。

他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。

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大森拓也
放送作家、物書き、フリーライター歴20年以上です。放送作家としての仕事についてはこちらで記載しています⇒https://note.com/hearty_takin9949
大河ドラマ【再放送/見逃し】動画を見る方法
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