2025年後期放送のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロイン・松野トキは、「髙石あかり」さんが演じます。ドラマのあらすじは、以下の通りです。
日本の怪談を世界に伝えた作家「小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)」と、その妻「小泉セツ」をモデルにしたオリジナル作品。
舞台は明治時代の松江。没落士族の娘・松野トキ(髙石あかり)は、外国人教師・ヘブン(トミー・バストウ)と出会い、心を通わせていく。
言葉も文化も異なるふたりは、怪談に込められた人々の想いを通じて、互いを支え合いながら、目には見えない“人の情”に寄り添って生きていく。
「ばけばけ」には、日本の名作怪談がたびたび登場し、物語の軸としても重要な役割を果たします。劇中に登場した「怪談」を一覧にして紹介します。
「ばけばけ」日本の名作「怪談」が多数登場|小泉八雲が原作にした伝承

劇中では、ヒロイン・トキがさまざまな怪談を聞いたり、語ったりする場面が印象的に描かれています。
トキのモデルとなった「小泉セツ」さんは、”語り部”として夫・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)に日本の怪談や民話を伝え、それを元に八雲が英語で『怪談(KWAIDAN)』などを出版しました。
これらの作品集には、「耳なし芳一」「雪女」などの名作が収められており、日本の怪談を世界に広める大きな役割を果たしました。
「ばけばけ」劇中登場の怪談一覧|元ネタ・あらすじ紹介

トキとヘブン、また周囲の登場人物たちが語り合う怪談には、古くから語り継がれてきた民話や伝承がベースとなっています。
実際にドラマに登場した怪談エピソードとその背景をご紹介します。
第1話「耳なし芳一」語り部・トキがヘブンに日本の怪談を聞かせる

第1話の冒頭シーンは、明治30年代後半の東京市・大久保が舞台です。トキがヘブンに「耳なし芳一」の怪談を語り聞かせるところから「ばけばけ」の物語は始まります。
「耳なし芳一」は平家の霊に琴を聞かせた芳一は、身を守るため体にお経を書かれますが、耳だけ書き忘れてしまい……。
小泉八雲が1904年に出版した『怪談』に収録された「耳無芳一の話」で広く知られるようになります。
もともと日本の口承民話だったこの物語は、セツの語りをもとに小泉八雲が再構築したことで欧米でも注目を集め、その後“逆輸入”という形で日本国内でも知名度を得ました。
第7話「源助柱」 松江大橋に伝わる伝説
第7話をはじめ、トキが織物工場へ向かう途中に毎日お参りする橋として、「源助柱(げんすけばしら)」がたびたび登場します。
島根県の「松江大橋」に伝わる源助柱の伝説は以下の通りです。
慶長12年(1607)松江城下町の整備にともない、大橋川に橋を架けることが命じられましたが、地盤が弱く工事は難航。そこで「最初に橋を渡った者を人柱とする」と定められ、足軽・源助が犠牲になったと伝えられています。
源助は橋脚の下に埋められ、工事は無事成功。その中央の柱は「源助柱」と呼ばれ、今も伝説として語り継がれています。
現在も松江大橋には、昭和14年(1939年)に建立された「源助柱記念碑」があり、源助を弔う碑として大切に守られています。
第7話「松風」松江・清光院に伝わる“芸者の幽霊”の怪談
第7話、織物工場の社長でもある雨清水傳(堤真一)が、結婚できなくて落ち込むトキを松江の「清光院(せいこういん)」の境内へ誘います。そこで、傳がトキに語る怪談が「松風」です。

さらに第10話では、トキとお見合い相手・山根銀二郎(寛一郎)が「清光院」を一緒に歩きながら、「松風」の怪談について語り合うシーンも登場。怪談好きな二人の心が通い合うキッカケとして描かれています。
「松風」の怪談のあらすじは以下の通りです。
芸者・松風には恋人がいましたが、ある日、彼女に横恋慕した侍が彼女に襲いかかります。逃げる途中、清光院へ助けを求めようとしますが、力尽きて寺の手前で息絶えてしまいます。
その後、清光院の石段に松風の足跡が残り、彼女の幽霊が現れるようになったというのが、この地域に伝わる怪談です。
この怪談は、小泉八雲の作品には収録されていませんが、松江に今も残る“地元怪談”として語り継がれており、現在も「清光院」は怪談ゆかりの地として静かな人気スポットになっています。
第11話「鳥取の布団の話」トキの婿・山根銀二郎から聞かされる怪談
第11話では、松野家の婿となった鳥取出身の武士・山根銀二郎が、トキに「鳥取の布団の話」を語ります。
「鳥取の布団の話」のあらすじは以下の通りです。
鳥取の町にできた宿屋に旅人が泊まると、布団から子どもの声が聞こえました。宿屋の主人が調べると、その布団は貧しい兄弟の家のものでした。両親を失った兄弟は家賃が払えず、最後の布団を奪われた後、寒さで亡くなったのです。兄弟は寺に葬られ布団は供養され、怪異は収まりました。
この怪談は、小泉八雲が来日後に執筆した初の作品集『知られぬ日本の面影』(1894年刊)に収められています。鳥取に伝わる昔話を、妻・セツが八雲に語り聞かせ、それを八雲が英語で再話したとされています。
第19話「牡丹灯籠」明治時代に流行った怪談落語
出奔した銀二郎を探して、トキは上京します。【第19話】銀二郎はトキに、給料が入ったら「牡丹灯籠」を聞こうと言います。
「牡丹灯籠」は、三遊亭円朝の口演で有名になった怪談落語の名作で、明治時代に大流行しました。「牡丹灯籠」のあらすじは以下の通りです。
旗本の浪人・新三郎は夏の夜に美しい女性・お露と出会い、互いに惹かれて逢瀬を重ねます。やがてお露は毎晩、牡丹灯籠を持った侍女とともに新三郎の元を訪れますが、実は・お露は既に亡霊であり、墓場から通っていたのです。新三郎もそれを知らず通わせ続け、ついには命を落とし幽霊と共に冥界へ…
第41話、月照寺の人食い大亀像の伝説
【第41話】では、ヘブンたちが訪れた月照寺に、大きな石の亀像が登場します。
この月照寺の大亀像には「夜になると動き出して人を襲った」と語られる伝承が残されており、ヘブンの実在モデル「小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)」の著書にも記録されています。伝承の内容は以下の通りです。
大亀は松江藩の藩主が愛した存在で、死後その記念として石像が造られました。しかし、夜な夜な町に現れては人を食らうようになったため、住職が説法を施したところ、大亀は涙を流し「もう動かないようにしてほしい」と願い、重い石碑を背負って封じられた…
劇中に登場した月照寺のロケ地、人食い大亀像の詳細については以下の記事で解説しています。
※物語が進み次第、順次更新中です。
まとめ

朝ドラ「ばけばけ」には劇中の怪談を紹介しました。登場する怪談には、それぞれモデルとなった伝承や実在の舞台があり、「ばけばけ」の世界をより味わい深くしています。
他にも「ばけばけ」のキャスト・スタッフ一覧は、以下でまとめています。

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