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「べらぼう」手拭合(たなぐいあわせ)とは?江戸のパロディ本と“手拭いの男”解説

「べらぼう」手拭合(たなぐいあわせ)とは?江戸のパロディ本と“手拭いの男”解説

2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」

「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。

“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。

田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。

 

「べらぼう」第28話のラストに登場した「手拭合(たなぐいあわせ)」は、天明4年(1784年)に出版された洒落本です。

北尾政演(古川雄大)が蔦重(横浜流星)に見せた“手拭いの男”の絵がきっかけで、蔦重は新たな黄表紙の出版を思いつきます。「手拭合」とは何なのか紹介します。

 

手拭合とは?江戸時代の手ぬぐいデザインを競うパロディ本

手拭合とは?江戸時代の手ぬぐいデザインを競うパロディ本

「手拭合(たなぐいあわせ)」は、江戸時代の天明4年(1784年)に出版された洒落本(しゃれぼん)で、手ぬぐいのデザインを題材にしたパロディ本です。

作者は江戸時代の人気戯作者であり浮世絵師でもある山東京伝(号:北尾政演)です。

  • 「たなぐい=手拭い(てぬぐい)」+「合(あわせ)=歌合(和歌の優劣を競う催し)」
  • 大名の若様から吉原の遊女まで、架空の出品者が79種類ものデザインを披露

 

↑作:山東京伝『志やれ染手拭合』1784年
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2537594/1/20)

歌合のように手ぬぐいのデザインを競うという架空の催しをテーマにしていますが、実際にそのようなコンテストが行われたわけではなく、本の中だけの遊び企画でした。

本の中には、大名の若様から吉原の遊女まで、多彩な架空の出品者による79種類の手ぬぐいデザインが収められています。

これらの図案は、歌舞伎や『太平記』といった古典文学や歴史的逸話をモチーフにしており、江戸時代の知識人や文化人が読み解いて楽しむための工夫が凝らされています。

 

「べらぼう」第28話のラスト“手拭いの男”が登場

「べらぼう」第28話“手拭いの男”が登場

↑作:山東京伝『志やれ染手拭合』1784年
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2537594/1/20)

「べらぼう」第28話では、北尾政演(古川雄大)が蔦重(横浜流星)に「手拭合」の“手拭いの男”の絵を見せます。「暖簾からこちらを覗く味のある男の顔」を見た蔦重は、新しい黄表紙の企画を思いつきます。

実際に江戸で出版された「手拭合」という本が、ドラマの重要なキーアイテムとして描かれています。

そして【第29話】蔦重は、誰袖(福原遥)が胸に秘めていた「田沼意知の仇討ち」という思いも重ねながら、北尾政演とともに新たな黄表紙を作ることになります。

“手拭いの男”が佐野政言を思わせる姿だったことから、性格を真逆の放蕩息子に変更して主人公に据えた黄表紙、『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』の出版へとつながっていきます。

↑蔦重が版元、作:山東京伝『江戸生艶気樺焼』1785年
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/9892607/1/4)

蔦重と北尾政演がタッグを組んだ『江戸生艶気樺焼』は、江戸中で大ヒットしました。

なお、大河ドラマ「べらぼう」で描かれる「手拭合」の“手拭いの男”から『江戸生艶気樺焼』を着想を得たエピソードは、ドラマのオリジナルストーリーと考えられます。

また、俳優・古川雄大さんが演じる浮世絵師「山東京伝(号:北尾政演)」の生涯については、以下の記事で詳細をまとめています。

北尾政演(山東京伝)とは?「べらぼう」古川雄大が演じる天才・戯作者の生涯
北尾政演(山東京伝)とは?「べらぼう」古川雄大が演じる天才・戯作者の生涯NHK大河ドラマ『べらぼう』に登場する戯作者・山東京伝(古川雄大)について、わかりやすく解説します。...

 

まとめ

NHK大河ドラマ「べらぼう」第28話に登場した「手拭合(たなぐいあわせ)」は、実際に江戸時代に出版されたパロディ本です。

ドラマでは「手拭合」の“手拭いの男”の絵がキッカケで、翌年に出版される『江戸生艶気樺焼』へとつながります。

他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。

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大森拓也
放送作家、物書き、フリーライター歴20年以上です。放送作家としての仕事についてはこちらで記載しています⇒https://note.com/hearty_takin9949
大河ドラマ【再放送/見逃し】動画を見る方法
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