2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」第29話(2025/08/03放送)、北尾政演が蔦重に見せた“手拭いの男”の絵がきっかけで、蔦重は新しい黄表紙を出版することになります。
そして、誰袖が蔦重に言った「田沼意知の敵を討ってほしい」という思いともつながっていきます。“手拭いの男”など「べらぼう」【第29話】について解説します。
「べらぼう」第29話あらすじ、蔦重と田沼意次がする仇討ち

↑作:山東京伝『志やれ染手拭合』1784年
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2537594/1/20)
「べらぼう」北尾政演(古川雄大)が蔦重(横浜流星)に「手拭合(たなぐいあわせ)」の「手拭いの男の絵」を見せます。
「手拭合(たなぐいあわせ)」は、江戸時代の天明4年(1784年)に出版された洒落本(しゃれぼん)で、手ぬぐいのデザインを題材にしたパロディ本です。「手拭合」の詳細は以下の記事でまとめています。

「手拭合」の「暖簾からこちらを覗く味のある男の顔」を見た蔦重は「これを黄表紙にしたら面白い!」と提案。そこへ鶴屋(風間俊俊)が現れ、
「大当たりを狙うなら、山東京伝先生(=北尾政演)を貸すよ」と協力を申し出ます。
政演は草稿を書き始め、ついに黄表紙「江戸生艶気樺焼」が完成。
蔦重がそれを誰袖(福原遥)に見せると、「田沼意知の敵を討ってほしい」と胸に秘めていた誰袖が、初めて笑顔を見せるのでした。
一方、その裏では、田沼意次(渡辺謙)が、東作(木村了)の手に入れた松前家の裏勘定帳をもとに、蝦夷地での不正蓄財を暴き、幕府に領地返上(上知)を願い出る準備を進めます。
【第29話】蔦重流の仇討ちの意味とは?“手拭いの男”が佐野政言に似ている

↑作:山東京伝『志やれ染手拭合』1784年
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2537594/1/20)
蔦重は、“手拭いの男”の姿が佐野政言(田沼意知を暗殺した人物)を思わせることから、その人物像を真逆の放蕩息子に作り替えた黄表紙のアイデアを思いつきます。
そして絵師・北尾政演とともに、『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』を世に送り出しました。
この『江戸生艶気樺焼』によって、悲しみに暮れていた“誰袖”に笑顔を取り戻してもらうことこそが、出版人・蔦屋重三郎にできる“仇討ち”だったのです。
なお、大河ドラマ「べらぼう」で描かれる「手拭合」の“手拭いの男”から、蔦重が『江戸生艶気樺焼』に着想を得たエピソードは、ドラマのオリジナルストーリーと考えられます。
「江戸生艶気樺焼」は大ヒットの史実、蔦重と山東京伝(北尾政演)の実績

↑蔦重が版元、作:山東京伝『江戸生艶気樺焼』1785年
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/9892607/1/4)
ドラマでも描かれているように、蔦重と北尾政演のタッグは、実際の江戸でも人気作品を生みました。
その代表作が前述の『江戸生艶気樺焼(えどうまれ うわきのかばやき)』です。
- 天明5年(1785年)刊行の黄表紙(江戸の絵入り娯楽本)
- 作者&絵師は山東京伝(=北尾政演)
- 版元は蔦屋重三郎(=蔦重)
物語は、大金持ちの放蕩息子・艶二郎が、吉原遊びや偽の心中騒ぎなどを繰り広げる滑稽ストーリー。江戸庶民の遊里文化を風刺しながら、笑いと洒落をふんだんに盛り込んだ内容でした。

この作品が大ヒットし、京伝と蔦重は江戸の出版文化を象徴するコンビとなります。
また、俳優・古川雄大さんが演じる浮世絵師「山東京伝(号:北尾政演)」の生涯については、以下の記事で詳細をまとめています。

まとめ

NHK大河ドラマ「べらぼう」第29話、蔦重は「田沼意知の敵を討ってほしい」という“誰袖”の思いに応えるため、黄表紙『江戸生艶気樺焼』を世に送り出します。
この作品の刊行こそが、出版人・蔦重流の“仇討ち”の形だったのです。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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