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田沼意知(宮沢氷魚)悲劇の史実とは?「べらぼう歴史解説」

2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」

「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。

“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。

田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。

 

「べらぼう」では田沼意次(渡辺謙)の嫡男・田沼意知を、「宮沢氷魚」さんが演じます。

将来を期待された若きエリートは、ある事件に巻き込まれ「悲劇のプリンス」とも言える存在です。田沼意知が悲劇に巻き込まれた背景、その史実を紹介します。

 

田沼意知とは?意次の嫡男として生まれたサラブレッド

田沼意知とは?意次の嫡男として生まれたサラブレッド

田沼意知(たぬま・おきとも【1749年〜1784年】)は、江戸時代後期の幕府政治を支配した老中「田沼意次(たぬま・おきつぐ)」の嫡男として生まれます。

 

田沼意次の嫡男として将来を期待される

田沼意次は、商業の振興や貨幣経済の活用など、当時としては先進的な政策を打ち出し、将軍・徳川家治の信任のもと絶大な権力をふるいました。

そんな父のもとで育った意知は、生まれながらにして「田沼時代の後継者」として将来を嘱望された存在でした。

 

若年寄として将軍側近に抜擢された若手エリート

田沼意知は30代前半で、幕府の高級職「若年寄(わかどしより)」に任命されました。

この役職は、将軍の側近として政治・行政の中枢に関わる非常に重要なポストです。若年寄から老中への昇進は王道の出世コースであり、田沼意知がいずれ父の後を継ぎ、幕政のトップに立つことは既定路線とも言われていました。

田沼意知は「奏者番 → 若年寄」という異例のスピード出世を果たしました。「べらぼう」に登場する単語「奏者番」に関しては、以下の記事でまとめています。

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文武両道、将軍・家治の信任も厚かった

意知は単なる“親の七光り”ではありません。学問にも武芸にも通じた文武両道の才人として知られ、政治的な能力にも優れていたと伝わっています。

第10代将軍・徳川家治(眞島秀和)からの信頼も厚く、政治的な将来に疑いの余地はありませんでした。田沼意知は「次代の幕政を担う若きプリンス」として華々しく活躍していました。

「べらぼう」では、花魁・誰袖(福原遥)が「松前藩の抜け荷の証拠を掴んだら身請けしてほしい」と田沼意知(宮沢氷魚)に申し出ます。

このエピソードは創作の可能性が高く、史実として「花魁が松前藩の抜け荷の証拠を掴んで身請けの交渉材料にした」といった記録はありません。「抜け荷(密貿易)」については、以下の記事で解説しています。

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「べらぼう」抜け荷(ぬけに)とは?江戸時代・松前藩は密貿易をしていた?NHK大河ドラマ『べらぼう』、「抜け荷(ぬけに)」とは、江戸時代に行われたの密貿易のことです。田沼意次政権は松前藩の「抜け荷」を問題視し、松前藩の「上知」を試みた史実があります。...

 

佐野政言の刃傷事件による意知の悲劇と「田沼政治」の衰退

佐野政言の刃傷事件による意知の悲劇と「田沼政治」の衰退

ところが、田沼意知の輝かしい未来は、わずか36歳という若さで突如として断ち切られます。

 

江戸城内で起こった衝撃の襲撃事件

事件が起きたのは、1784年(天明4年)3月24日(旧暦)。江戸城内・松之廊下にて、旗本の佐野政言(矢本悠馬)により、意知は突然刃物で襲撃されます。

評定(将軍への報告・会議)の前に起こったこの事件は、江戸幕府の中枢で起きた前代未聞の“刃傷沙汰”として、当時の江戸中を震撼させました。

 

佐野政言はなぜ意知を刺したのか?動機は忠義か私怨か

佐野政言がなぜ田沼意知を襲ったのか、その動機にはいくつかの説があります。

一つは「忠義による義憤」という見方。田沼政権下の賄賂政治や腐敗に義憤を感じ、意知を“世直し”のために刺したという、いわば忠臣蔵的な解釈です。この見方は当時から広く流布し、庶民の間でも「正義の人」として佐野を英雄視する風潮がありました。

しかし近年では、佐野自身の昇進を妨げられたことに対する個人的な怨恨説や、田沼家との私的な確執など、もっと現実的な事情があったとされる研究もあります。

 

若き命の喪失が「田沼意次」政権を揺るがす

意知は事件から約1週間後の4月2日(旧暦)に死亡し、享年36(数え年)でした。父・田沼意次にとっては、最愛の息子を失った悲劇でもあり、政治的にも致命的な打撃でした。

この事件後、天明の大飢饉や田沼家への反発・政敵の策動など複合的な要因もあり、田沼意次の政治的立場は大きく揺らぎ、やがて失脚。後に「寛政の改革」を行う松平定信が幕政の主導権を握るようになります。

この一件は単なる個人の悲劇だけでなく、江戸幕府の政治体制を転換させた歴史的事件でもあったのです。

「べらぼう」で渡辺謙さんが演じる「田沼意次」の政治、史実については以下の記事で解説しています。

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宮沢氷魚プロフィール、朝ドラ「ちむどんどん」出演、のちに黒島結菜と事実婚

 

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田沼意知を演じるのは、俳優「宮沢氷魚(みやざわ・ひお)」さんです。宮沢氷魚のお父さんはTHE BOOMのボーカル・宮沢和史さんです。プロフィールは以下の通りです。

生年月日1994年4月24日
出身米国・カリフォルニア州サンフランシスコ

2017年、ドラマ『コウノドリ』第2シリーズで俳優デビュー。主な出演ドラマは『偽装不倫』、映画『騙し絵の牙』など。

同性愛者を演じた映画『his』(2020)では初主演、その演技は高く評価され、多くの映画賞を受賞。

宮沢氷魚さんは大河ドラマは「べらぼう」が初出演、朝ドラ「ちむどんどん」では、ヒロイン暢子の恋人役で新聞記者・青柳和彦を好演しています。

「ちむどんどん」新聞記者/青柳和彦を演じる宮沢氷魚、子役は田中奏生
「ちむどんどん」新聞記者/青柳和彦を演じる宮沢氷魚、子役は田中奏生NHK朝ドラ「ちむどんどん」東京から転校してきた少年が青柳和彦、少年時代は子役「田中奏生(たなかかなう)」さん、成長すると「宮沢氷魚(みやざわひお)」さんが演じます。...

 

また、宮沢氷魚さん「ちむどんどん」で恋人役だったヒロイン暢子を演じた「黒島結菜」さんと、のちに事実婚をしています。

 

まとめ


NHK大河ドラマ「べらぼう」、宮沢氷魚さん演じる「田沼意知」は父・意次の改革を継ぐ存在として期待されながら、城中での刃傷事件により若くして命を落とし、幕政の大転換を招いた悲劇の人物です。

他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。

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大森拓也
放送作家、物書き、フリーライター歴20年以上です。放送作家としての仕事についてはこちらで記載しています⇒https://note.com/hearty_takin9949
大河ドラマ【再放送/見逃し】動画を見る方法
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