2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」【第17話】では、1780年(安永9年)青本10冊を一挙に刊行して名を上げた蔦重が、次に目を向けたのは「往来物(おうらいもの)」です。
「往来物」とは、どんな書物なのか紹介します。
「べらぼう」第17話あらすじ、蔦重は「往来物」に興味を持つ

【第17話】1780年(安永9年)、蔦重(横浜流星)は青本など10冊も一挙に刊行し、耕書堂の認知度は急上昇。
劇中では「青本」と表現されていますが、後に「黄表紙」と分類される書物です。「黄表紙」は、江戸時代中期に流行した安価で手軽に楽しめる小説のこと。恋愛物語や人情話を中心に、簡単な文章と挿絵で構成され、読み書きができる庶民層に絶大な人気を博しました。
江戸時代の娯楽本「赤本」「青本」「黄表紙」の違いについては、以下の記事で詳しくまとめています。

新作ラッシュによって、蔦重の耕書堂は一気に知名度を高めますが、そんな中、かつて吉原の女郎・うつせみ(小野花梨)と足抜けした新之助(井之脇海)と再会。
新之助との語らいの中で、蔦重は子どもたちが読み書きを学ぶための教材「往来物」に興味を持つきっかけを得ます。
教科書「往来物」とは?読み書きや礼儀作法を教えるための手習い本

「往来物(おうらいもの)」とは、江戸時代に普及した、読み書きや礼儀作法を教えるための手習い本のことを指します。
もともとは手紙のやりとり(往復書簡)の文例集として生まれましたが、次第に内容が多様化し、
- 手紙の書き方
- 商売の基礎知識
- 地理・歴史の基礎知識
など、実生活に役立つさまざまなテーマを扱うようになりました。
「往来物」は、寺子屋などの教育現場で子どもたちの教科書として広く使われ、当時の庶民の教養レベル向上に大きな役割を果たしました。現代でいう「国語ドリル」や「生活科教材」に近い役割を担ったと言えるでしょう。
往来物の代表的な作品

↑室町時代の「庭訓往来」
出典:国立公文書館デジタルアーカイブ
江戸時代に広く親しまれた往来物には、さまざまな種類がありました。中でも代表的な作品をいくつか紹介します。
庭訓往来(ていきんおうらい)
室町時代末期に成立し、江戸時代にも長く使われた最も有名な往来物です。
手紙の文例に加え、年中行事、仏教や儒教の教え、日常生活に必要な知識をまとめた内容で、寺子屋の教科書として定番となりました。
商売往来(しょうばいおうらい)
商人の子どもたち向けに作られた、商取引や商売の心得を学ぶための往来物です。
実用的な内容が多く、町人層の教育に大きく貢献しました。
下学集(かがくしゅう)
仏教、儒教、歴史、地理など幅広い知識をまとめた百科事典的な往来物です。子どもだけでなく、大人も学び直しに使ったと言われるほど、実用性の高い内容でした。
「往来物(おうらいもの)」の語源
「往来物」という呼び名は、もともと往復書簡(手紙のやりとり)=往来文(おうらいぶみ)から来ています。
人と人とのやりとり(往来)を学ぶための文例集が最初に作られ、そこから発展して、手紙だけでなく、日常生活に必要な知識やマナーを学べる教材へと広がっていきました。
蔦重が「往来物」出版に関与した史実は?

蔦屋重三郎が実際に「往来物」出版にどれほど関与したかについては、史実として明確な記録は多くありません。
ドラマの演出上、蔦重が「往来物」に目をつけるという展開はフィクションの要素が強い可能性があります。
まとめ

NHK大河ドラマ「べらぼう」【第17話】では、蔦重が新たに「往来物」に興味をもつ姿が描かれました。
「往来物(おうらいもの)」とは、江戸時代に普及した、読み書きや礼儀作法を教えるための手習い本のことを指します。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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