2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」第22話で、恋川春町(岡山天音)は、狂歌を詠むときの狂名「酒上不埒(さけのうえのふらち)」を名乗ります。
「べらぼう」第22話、恋川春町が名乗った「酒上不埒」とは?

大河ドラマ「べらぼう」第22話では、黄表紙作家・恋川春町が、狂歌を詠む際に「酒上不埒(さけのうえのふらち)」という狂名を使います。
狂名(きょうめい)とは、当時の文人たちが狂歌(ユーモアや風刺を込めた短歌)を書くときに用いた、いわば“ペンネーム”です。
この「酒上不埒」は直訳すれば「酒に酔って道を外れる人」。つまり、「お酒を飲んで羽目を外す、ちょっと不真面目だけど憎めないヤツ」といった意味を込めた名前です。
江戸っ子ならではの開き直りと粋(いき)で洗練されたネーミングセンスこそ、狂歌師としての恋川春町の真骨頂といえるかもしれません。

「べらぼう」で恋川春町を演じるのは、「岡山天音」さんです。恋川春町の生涯については、以下の記事でまとめています。

なぜ「酒上不埒」を名乗ったのか?江戸文化と風刺の関係

恋川春町は、江戸中期に活躍した黄表紙作家であり、庶民の暮らしや世相をユーモアたっぷりに描いた作品で知られています。
代表作『金々先生栄花夢』では、当時の風潮や社会を風刺した内容が話題となり、江戸の出版文化に大きな影響を与えました
そんな春町が「酒上不埒」と名乗った背景には、2つのポイントが考えられます。
風刺精神の表れ
世の中の建前や権力に対して、一歩引いた視点から笑い飛ばす──それが狂歌の醍醐味。その精神を名前にも込めたのでしょう。
庶民的キャラクターの演出
町人文化の世界では、「肩肘張らない、飄々とした人物像」が人気でした。酔っ払って不埒なことを言う、でもどこか愛される人物像。それを自ら演出していたとも言えます。
つまり、「酒上不埒」という名は、自らを“風刺と自由の担い手”として位置づける、春町なりの演出だったのかもしれません。
「酒上不埒」の狂歌を紹介

↑蔦重が版元、北尾政演(山東京伝)画
出典:『吾吾妻曲狂歌文庫』天明6年、国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/14122014/1/19)
蔦屋重三郎が出版した『吾吾妻曲狂歌文庫』に「酒上不埒」の狂歌があります。
もろともに ふりぬるものは 書出しと
くれ行としと 我身なりけり
— 酒上不埒
現代語訳は「そろって疎ましく嫌いになるものは、請求書の束と迫ってくる年の暮れ、そしてまた一つ歳をとる我が身である」
嫌なことを軽やかに笑い飛ばすこのユーモアこそ、まさに江戸狂歌の真髄。そして「酒上不埒」の名にふさわしい、“呑んで風刺して笑い飛ばす”精神がにじみます。
江戸時代に一大ブームを巻き起こした、「狂歌本」については、以下の記事でまとめています。

まとめ
NHK大河ドラマ「べらぼう」、「酒上不埒(さけのうえのふらち)」という名前は、恋川春町の狂名です。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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