2025年1月5日(日)スタートの第64作となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎を演じるのは「横浜流星」さんです。そして、森下佳子さんが脚本を担当、あらすじは以下の通りです。
“江戸の出版王”と呼ばれた「蔦屋重三郎」の波乱万丈の生涯を描く。人口100万を超えた江戸、貧しい家庭に生まれた蔦重は養子として育ち、貸本屋から書籍編集・出版業へと進出。
田沼意次の時代に「黄表紙」の大ヒットで文化の中心となり、喜多川歌麿や葛飾北斎など、後の巨匠たちを世に送り出す。笑いと涙、謎が交錯する物語を通じ、蔦重の自由と文化への情熱が時代を超えて描かれるエンターテインメントドラマ。
「べらぼう」では田沼意次(渡辺謙)が政の中心人物として登場し、江戸後期の波乱に満ちた政治の裏側が描かれます。
田沼意次が松前藩を「上知(あげち)」しようとした史実を解説します。
「上知」とは?江戸幕府が藩の土地を取り上げる政策

「上知(あげち)」とは、江戸幕府が大名や旗本の領地を取り上げ、自らの直轄地(天領)に組み込む政策のことです。
現代風にいえば、“土地の国有化”に近い政策で、主に以下のような理由で実行されました。
- 幕府の財政難を立て直すため
- 重要地域(港・鉱山・防衛拠点など)を幕府の支配下に置くため
- 外敵(ロシアなど)への防衛体制を強化するため
この政策によって領地を失う大名たちにとっては、生活基盤が崩れる重大な問題です。そのため、各地で反発が起こり、上知を実施するには高度な政治的調整が必要でした。
田沼意次による松前道廣(えなりかずき)の領地没収未遂の史実

「べらぼう」では田沼意次(渡辺謙)は松前藩から蝦夷地を取り上げようとした「上知(あげち)」政策が描かれていますが、その史実を解説します。
また、渡辺謙さん演じる「田沼意次」の生涯については、以下の記事で詳細をまとめています。

松前藩とは?蝦夷地(北海道)を治めていた特別な藩
松前藩(まつまえはん)は、現在の北海道南部にあたる「蝦夷地(えぞち)」を治めていた藩です。普通の藩とはちょっと違って、藩の経済は本州の農業中心ではなく、アイヌの人々との交易や海産物の流通が中心でした。
松前藩は、遠く離れた北の地で、幕府に代わって国境警備の役割も担っていた特別な存在だったのです。

藩主・松前道廣(まつまえ・みちひろ)は、「べらぼう」では俳優・えなりかずきさんが演じています。
田沼意次のねらいと蝦夷地政策
田沼意次は老中として、18世紀後半にロシア船が北方海域に現れ始めたことから、蝦夷地の重要性にいち早く着目しました。幕府にとって、蝦夷地の防衛強化は急務となっていました。
田沼は蝦夷地に眠る金山資源や海産物、交易の可能性にも注目し、経済的利益と国防の両面から蝦夷地開発を推進しようとしました。このため、従来の藩体制を超えた国家主導の開発・防衛体制を目指し、蝦夷地の幕府直轄化(天領化)を構想したのです。
実際には、田沼時代に蝦夷地調査や開発計画が進められ、1785年には最上徳内らによる蝦夷地探検が行われましたが、松前藩からの領地没収や上知は実現しませんでした。
松前藩の反発と計画の行方
松前藩にとって蝦夷地は経済の根幹であり、幕府による直轄化は死活問題でした。当然、松前藩は強く反対しました。
また、田沼のやり方や政策は「強引だ」として、政敵である松平定信らにも批判されました。天明期の天災や田沼の失脚も重なり、蝦夷地の上知計画は田沼時代には実現しませんでした。
結果として、蝦夷地は引き続き松前藩の支配下に置かれました。実際に蝦夷地の一部が幕府直轄となるのは、田沼失脚後の寛政11年(1799年)のことです。
まとめ
NHK大河ドラマ「べらぼう」、「上知」とは、幕府が大名の領地を取り上げ、直轄地にすることです。
田沼意次は、蝦夷地の開発と防衛のために、松前藩の土地を上知しようとした事実はありますが、実現はしませんでした。
他にも「べらぼう」のキャスト・登場人物・スタッフ一覧は、以下をチェックしてください。


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